気象ゼミごっこ

気象予報士試験に向けて、大学のゼミみたいに勉強するブログ

大気の放射②太陽の熱

前回に引き続き、大気の放射について勉強します。

 

 

前回のおさらい

①光は波であり、粒子である。光が物質に当たったとき相互作用により反射

②太陽光(電磁波)が大気中のエーロゾルに入射するとき、光はレイリー散乱する。

その散乱の強さは電磁波の波長の4乗に反比例する。(波長が短いほど散乱が強い)

→空が青く見える →夕焼けが赤く見える

 

③太陽光(電磁波)が大気中の雲粒に入射するとき、光はミー散乱する。

その散乱の強さは電磁波の波長の長さにほとんど依存しない。

→雲が白く見える

④太陽光(電磁波)が大気中の雨粒(や氷晶)に入射するとき、光は屈折や反射をする。

→虹や彩雲などの大気光学現象

 

このようなことを勉強しました。

 

太陽と地球

地球は地軸が公転軌道面の垂直線に対して、23.5度傾いています。

そのため、太陽と地球の位置関係によって、太陽から受ける熱の量が違います。それが季節の変化が起きる要因なんですね。

 

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この図を見てわかるように、夏至の日というのは、緯度23.5度の地点の南中高度(正午における太陽の高度角)が90°になる日です。北半球で一番昼が長い日です。

逆に冬至の日は、南緯23.5度の地点の南中高度が90°になる日です。

 

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春分点秋分点は、黄道天の赤道が交わる点なので、春分の日秋分の日は、緯度0度(赤道面)で南中高度が90°になります。 

 

太陽からの熱

電磁波を放射しているエネルギー源となるものが中心にあって、中心からの距離が異なる球体がその周りを包んでいるとき、球体上で受け取る全熱量は等しくなります。このように放射強度という物理量で式に表すことができます。(垂直に入射するものとすると)

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太陽が太陽の周りで放射している放射量と太陽と地球の大気までの距離をrとした球面が受ける全放射量は等しく、地球大気の上端で受ける太陽からの放射強度は太陽定数として定義されています。

 

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以前太陽系のお話をしたときに、太陽の温度について触れました。

 

meteorolo.hatenablog.com

 

*****以下引用******

太陽の温度は大体6000Kくらいです。

 

この6000Kという温度はどうやって測ったのでしょうか。

昼は太陽の光で空が明るいですね。それは太陽からの電磁波の放射は可視光線を含んでいるからです。

太陽からの電磁波の分布は、大体こんな感じです。

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この曲線が極大となる(波長λで微分して0となる)のは、λ=0.5μmのところです。

0.5μmの電磁波は青色の光です。

太陽だけでなく、一般的によく放射する物体は入射してきた放射をよく吸収します。(キルヒホッフの法則

またプランクによれば、あらゆる物体はその物体の温度や性質によって、放射する電磁波のエネルギーが決まっています。

プランクは、黒体(入射された放射を全て吸収する物体)から放射されるエネルギーを理論的にこのように表しました。

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さらに、エネルギーが最大となる波長は、

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つまり、高温の物体ほど放射するエネルギーがピークとなる波長が短いということです。この法則はウィーンにより発見されました。

 

このようなことから、太陽の温度が6000Kというのがわかるのです。

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色温度と実効温度

これは、観測された波長の長さから太陽の温度を求めたもので色温度と言います。

一方、太陽定数を使って太陽の表面での放射強度からも太陽の温度を求めることができます。温度と放射強度の関係式(ステファン・ボルツマンの法則)から太陽の温度を割り出します。この温度を実効温度と言い、色温度と実効温度には少し乖離があります。

それは、太陽の光球が固体ではなく、固体の外側には太陽大気があって放射過程が複雑だからです。

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地球の放射平衡

大気の存在しない真空の地球表面では、1秒あたりに地球が受け取る太陽放射量と、射出する地球放射量とが釣り合い、放射平衡が成り立つと考えられています。

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この関係を使うと、地球に大気がなかったときの地球の放射平衡温度を知ることができます。

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地球に大気がなかったら、激寒なんですね。

というのも地球大気には温室効果があります。

 

温室効果

1年を通して地球全体で平均した単位面積当たりの放射エネルギー輸送量を図で描いたのが、こちらです。↓

 

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太陽からの放射は、対流圏に到達する前に紫外線がオゾンにより吸収されます。

大気上端で観測される放射の約20%は大気中の水蒸気やオゾン・酸素分子によって吸収されます。大気は透明であり光を通しますが、これは太陽からの放射のうち可視光の進行は妨げないということです。この20%の吸収というのは、可視光以外の波長の電磁波(主に赤外線)を吸収しています。

したがって地表に到達する放射の大部分は可視光です。温められた地表は赤外線の放射を強めます。この赤外線が大気中の水蒸気に吸収され、大気を温めます。

ある波長の電磁波をよく吸収する物質は、その波長の電磁波をよく放射するという性質があります。(キルヒホッフの法則

水蒸気は多くの波長の赤外線をよく吸収し、赤外線をよく放射します。ですから、大気は地表からの赤外放射を吸収する一方で、温められた大気は赤外線を放射しているのです。この大気からの放射は、一部宇宙へと逃げていきますが、多くはまた地表に向かい、再び地表を温めます。

これが大気の温室効果です。

つまり、大気があることによって、大気や地表の温度が高く保たれているんですね。

 

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今回は大気の放射についてまとめてみました。

文章を書くって難しいですね笑

厳密には説明できていないと思いますので、また加筆修正するかもしれません。

次回は大気の運動についてお話したいと思います。

運動方程式から出発して、風を語りたいと思います!

力学は割と好きなんで、楽しみです🐧