降水過程①凝結過程
今日は降水過程のお話をしたいと思います。
雲ができて、雨が降るまでの過程をお話します。
雲ができるまで
湿った空気塊が上昇すると、気圧が下がるので膨張し、温度が下がります。
すると、あるところで相対湿度が100%に達します。
その時に何か核になるようなものがあれば、それを中心にして雲粒や氷粒ができます。その核となるものをエーロゾルと言います。
英語で書くとaerosol
sol(ゾル)は、gelの対義語です。
ゾルとは・・・コロイド粒子が液体中に分散していて流動性のあるもの。
コロイドって・・・?っと思ったらこちらへ↓
家で氷を作る時、その氷は不純物を核とします。
不純物のない水をゆっくり冷却すると、0℃になっても氷にならず、この状態の水を過冷却水と言います。
その話に似ているのですが、大気中の原子や分子よりも大きい粒子が大気中で分散しているんですね。それがエーロゾルです。それを中心にして雲ができます。
エーロゾルには、
・陸地の地表から吹き上げられた土壌粒子
・海面のしぶきから形成された海塩粒子
・火山噴火により大気中に放出された粒子
そのほかいろんな粒子があります。
大きさも様々で、
・半径0.005~0.2μmのエイトケン核
・半径0.2~1μmの大核
・半径1μm以上の巨大核
があります。
大気中には色々な化学成分と大きさを持つ微粒子が存在しているんですね。
その中でも特に注目したいのは、海面のしぶきから形成された海塩の粒子です。
なぜなら他のエーロゾルに比べて半径が大きく、水に溶けやすいからです。
水に溶けやすい、吸湿性が高いということは、その表面は水の膜で覆われます。
水滴と、平面の水がどのような相対湿度で平衡になりうるかということを色々な大きさの水滴で調べたら、こういうグラフに書けるそうです。↓
【平面な水に対して平衡状態にある純粋な水の水滴の半径と相対湿度の関係(5℃の場合)】
簡単に言い換えてみると、
例えば、0.3μmの吸湿性の良いエーロゾルがあると、わずか0.4%の過飽和度で平衡状態になり、それ以上の過飽和度であればさらに水蒸気が凝結してより大きい水滴になります。
海塩粒子は海のしぶきが蒸発したあとに残ったものなので、だいたい塩(NaCl)ですよね。NaClは水によく溶けます。
一般に化学物質が溶けた水(溶液)に対する飽和水蒸気圧は純粋な水のそれより低いという性質があります。(ラウールの法則)
ちなみに、氷と比較しても水に対する飽和水蒸気圧は高いです。
湿った空気塊を上昇させて過飽和の状態に達した時、吸湿性の良いエーロゾルが空気中に浮遊していると、エーロゾルは水蒸気を凝結させるための核(凝結核)の役割をしてくれて、水滴ができます。(雲粒)
出来立ての雲の中の雲粒は半径が1〜20μm程度です。(赤血球と同じくらいの大きさとのこと ※Wikipedia調べ)
そのまま空気塊が上昇すると、空気は絶えず過飽和の状態になり、雲粒が凝結過程により成長します。
雲粒の凝結過程
雲粒の凝結過程によって時間とともにどう成長するか計算します。
降水過程の分野は、気象の教科書には結構簡単に書いてあるのですが、その土台には流体力学があって、これはちゃんと理解しようと思うとすごく難しいです。
あんまり深入りはせず、分かりそうなところは勉強していきたいと思います。
単位時間あたりの
①水滴の質量数Mの増大量=②水蒸気が水滴に吸収された質量数
という質量保存を使って計算します。
①水滴の質量数Mの増大量
これは割と簡単に式にすることができます。
水滴には、液体の表面積を最小にしようとする力(表面張力)が働くので水滴を半径rの球として式を立てると、
②水蒸気が水滴に吸収された質量数
これを考えるには「拡散」についての勉強が必要です。
濃い方から薄い方へ流れるので、その流れはベクトルで表すとこのようになります。
勾配(gradient)が出てきて難しい感じがしますが、何となくイメージできるでしょうか。(この辺は大学で習う数学です・・・)
マイナスの意味は、拙い言葉で言うと、後ろ引く前をしたときのマイナスです(苦笑)
濃度の勾配は濃い方を向いていますが、濃い方から薄い方というベクトルは薄い方を向いていますからマイナスがついているんですね。
フィック の法則に基づいて水蒸気の拡散量を考えると、
①=②なので、
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降水過程を1記事にまとめようと思ったけど、
長くなりすぎたので、ここら辺で一旦切りたいと思います。
次回は雨粒が併合して成長する過程から勉強します!
気象に関する物理量について考える
こんにちは。
またまた台風接近の週末。風が弱まるまで家で待機です。
さて、前回まで熱力学の分野で基本的な法則
☁︎静力学平衡の式
☁︎状態方程式
☁︎熱力学第一法則
を使って、
気象を表す物理量をいくつかご紹介しました。
☀︎相対湿度
☀︎露点温度
☀︎混合比
☀︎比湿
☀︎温位
☀︎相当温位
など
今回は、過去問を使ってこれらの物理量を考察していきたいと思います!
①未飽和の湿潤空気塊を、一定の圧力のもとで凝結を伴わずに飽和するまで温度を下げた場合、どんな値が保存される?
この過程は、室内の温度をエアコンで下げたような感じでしょうか。
温度が下がることによって、飽和水蒸気圧が下がります。
気圧が一定で温度が下がるということは、外部から熱が加えられている(奪われている
)ということです。
圧力は変化しないので、相対湿度は高くなります。
私の家の洗濯機は乾燥機能がついているけど、自動乾燥すると湿っていることが多いです。ピーっと音が鳴ってからすぐに蓋を開ければいいんですけど、しばらく放っておくと湿っているんです。多分音が鳴ったときは一応乾いているんだけど、そのときの洗濯槽の中の温度って室温に比べて高いですよね。時間が経つにつれ、洗濯槽内の空気の温度が下がるために飽和水蒸気圧が下がるから湿っちゃうんですね〜 特に吸水性の良いタオルとか・・・
混合比(水蒸気量と乾燥空気量の比)は、凝結しないので変化なしです。
②下図のように空気塊が2000mの山を西から東に越えるとき(フェーン現象)
断熱変化では空気塊の混合比が保存されることに注目して、東側の山麓で空気塊の温度を求めよ、とのことです。
こういうときに混合比を使うんですね〜
最初に持っていた水蒸気量の30%を失うけれど、乾燥空気は減ったり増えたりしないので、混合比が7割になる、とのことです。
これを使って計算すると、
凝結によって潜熱が放出され、山の東側に暖かく湿った空気が流れるという過程です。
気象予報士の試験では電卓が使えないので、その辺鍛えていかなくては〜)
③未飽和の湿潤空気塊を持ち上げ凝結高度まで断熱的に上昇させた場合、どんな値が保存される?
④飽和している湿潤空気塊を、凝結させながら断熱的に冷却した場合、どんな値が保存される?
相対湿度は100%から変わらず保存されます。あと相当温位も保存されますね。(エマグラムの使いどころがわかって来たような〜)
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今回は以上。問題演習の復習でした😄
昨日は8月に実施された気象予報士試験の合格発表だったみたいです。
私は勉強を始めてから日が浅く受験しませんでしたが、今回の試験で部分合格された方たちと来年1月に受験することになるので、身が引き締まる思いです。
一通り勉強された方たちの中で受験するのだということを踏まえて、私はもっと勉強しないとと思います^^;
大気の熱力学④エマグラム
週末は大体勉強カフェで勉強しているのですが、今日は台風が接近していることもあってお家でまったり勉強〜♪
※勉強カフェとは
大人のための自習室です。いつもお世話になっています☕️
今回は、気象で扱う物理量をグラフで示していきます。
■前回のおさらい
①熱力学第一法則とは
エネルギーとは仕事に変換できるもの。外部からエネルギーが与えられると、それを仕事に変換する。その残りが内部エネルギー。内部エネルギーは温度だけに依存する。
②乾燥断熱過程と湿潤断熱過程
熱力学第一法則や静力学平衡の式、状態方程式を用いて、
・乾燥断熱減率
・温位
・湿潤断熱減率
・相当温位
を導出した。
③大気の水分を表す物理量
・相対湿度
・混合比
・比湿
・露点温度
を紹介した。
今回はこれらをエマグラムという図にしていきます。
↑らくらく突破 気象予報士 かんたん合格テキスト 学科一般 P148より
天気の解析に使うグラフです。
横軸が気温、縦軸が高度の代わりに気圧の自然対数をとってあります。
あらかじめ、
▼乾燥断熱線
▼湿潤断熱線
▼等飽和混合比線
が書かれてあります。
混合比とは、このような物理量でした。
飽和混合比は、このようになります。
y=ax+bという関数をy-xグラフに描くのは簡単ですよね。
エマグラムはそのようなグラフとはちょっと違います。
エマグラムは、縦軸も横軸もパラメーターになっていて、点で結果を表しています。(こういうグラフを散布図とか分布図と言います)
ここが難しいポイントだと思います。
飽和とは、相対湿度が100%になる状態のことであり、そのときの温度が露点温度です。ですから、等飽和混合比線は、気圧変化に対応した露点温度であると解釈できます。同じ気温であれば、気圧が低いほど露点温度は高いということです。
ある地点ある高度における空気塊に関して、気温と気圧がわかっていれば、エマグラムを使うことにより、
▼温位
▼露点温度
▼相当温位
▼湿球温位
がわかります。
エマグラムを使って、空気塊の気温減率と安定性について考えてみます。
安定性については、こちらを参考に↓
対流の起こりにくさ=安定度です。
少し持ち上げた空気塊がさらに上昇しようとするとき→不安定
下降しようとするとき→安定
空気塊だけでなくて、周りの空気も大気層が変化する場合、どうなるでしょうか。
条件付不安定であるが飽和していない大気中の空気塊を考えます。
対流の起こりやすさを示す指標としてCAPE(Convective Available Potential Energt)があります。↑の水色で塗った面積がそれです。この面積が大きいほど対流は活発になりやすいと言えます。
大気の熱力学③熱力学の第一法則
時間がないない病だとか、パソコンが壊れたとかでゼミごっこの更新がすっかり滞ってしまっていました。
今回は、気象を勉強する上で基本となる法則の一つである「熱力学の第一法則」を紹介しつつ、いくつかの物理量を導いていきたいと思います。
その前に、
■前回のおさらい
前回は静力学平衡について勉強しました。
①空気の運動方程式を球座標で書き表すと、
コリオリの力を地球の引力に比べて非常に小さいものとして0に近似し、さらに空気塊が鉛直方向に加速していない状態を静力学平衡の状態という。
②静力学平衡の式は気圧と高度の関係を表している。
→上空ほど気圧が低い
③状態方程式を代入することにより気圧と温度の関係も表すことができる。
→気温の高い層ほど厚みがある
このようなことを勉強しました。
今回は熱力学第一法則です。
気温や降水について知ろうと思うと、エネルギーについて考えなければなりません。
エネルギーっていうのは何なのかというと、「仕事に変換できるもの(量)」と言えます。風船で考えてみると、風船がひとりでに膨らむってことはないわけです。誰かが吐き出した空気のおかげで内部の気圧が上がるとか、外部から熱が加えられるとか、とにかくエネルギーが増大しないと、膨らむことはできません。
ΔQ=ΔW +ΔU
これが熱力学第一法則です。
分子の運動エネルギーが内部エネルギーです。
分子の運動エネルギーが増大するということは、温度が上がるということであり、ΔUは温度だけに依存する量です。
気象での計算で使いやすいように、この式を少し変形します。
まず、乾燥空気塊が断熱的に上昇する場合を考えます。
さらに、状態方程式を用いると、温位という量が求まります。
これは、例えば 850hPaの空気塊と500hPaの空気塊を比べるとき、500hPaの方が気圧によって低い気温になりがちです。
潜在的な気温を知る為に、乾燥断熱的にどちらの空気塊も1000hPaまで降ろしてみたらどうなるか、という量で比べてみませんか?というのが温位という物理量の考えです。
乾燥断熱的に空気塊を移動させる時に、温位は保存されます。
次に、飽和している空気塊を考えてみます。
空気塊を上昇させると、空気塊の温度が下がり、その温度に対する飽和水蒸気量は下がるので、その分の水蒸気が凝結し、潜熱を放出します。(Δzだけ上昇すると、水蒸気の量はΔwだけ凝結する)
外部からは加熱されませんが、凝結熱が空気塊を暖めます。
そのおかげで、飽和した空気塊が断熱的に上昇するときの気温減率(これを湿潤断熱減率といいます)は乾燥断熱減率より緩やかです。
湿潤断熱上昇過程についても、保存される熱力学的量を考えてみます。
これが相当温位の定義です。
飽和した空気塊を断熱的に上昇させて、含んでいた水蒸気を全て飽和させます。(潜熱として全て放出)その空気塊を断熱的に1000hPaのところまで持ってきたとき(この間ΔQ=0)の温度が相当温位であるということです。
相当温位は乾燥断熱過程でも湿潤断熱過程でも保存されます。
水蒸気を含む空気塊の温位は、その空気塊の相当温位より高くなることはありません。
相当温位は水蒸気が凝結して潜熱を放出し、その熱が気温に与える、ということも考慮した量ということですね。
ここで、空気の水分を表す物理量をもう少し見てみましょう。
▼相対湿度
▼混合比
▼比湿
▼露点温度
気温が低いとき、窓に水滴がついていることがありますね。
気温が下がることで、飽和水蒸気量が下がり、もともと水蒸気として存在していた水分子が液体となってしまいます。この現象を結露と言い、結露するときの温度を露点温度と言います。つまり相対湿度が100%となるときの温度です。
色々な物理量が導入されましたが、これらを可視化するのにとても良い方法があります。それがエマグラムというものです。
次回はエマグラムを紹介したいと思います。
********************
今回は熱力学第一法則に関して勉強しました。
温位や相当温位などの物理量は、導出する練習を何度かした方が良いかもしれません。
導出はらくらく突破には書かれていないんですが、私はその方が納得できるので何度か練習したいと思います。
Macbook Proを手に入れました!
大学入学時から使っていたパソコンがとうとう壊れた(というか、私が充電中のコードに引っかかってしまって充電部分が破壊され、充電ができなくなってしまった💦)ので、ブログの更新も滞っておりました。
今まで両親にも勉強していることを黙っていたのですが、話しまして、そしたら毋がパソコンをプレゼントしてくれました!
応援してもらえるとも思っていなかったので、本当に嬉しいです。
目標を肯定してもらえるだけで、こんなに嬉しくなれるとは思いませんでした。
「気象予報士の勉強してる」って言ったら、間髪入れずに「かっこいいやん」って言ってもらえて。
父は気に食わないみたいですが・・・。どう思われようが、私は受けます。
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さて、勉強に若干行き詰まっているというか、時間がないという感覚に陥っていまい、軌道修正中です。
勉強計画を見直し中です。
使っている参考書をちょっと分類しました。
今までは一般の勉強を真面目に最初から読んでいて、一般気象学 気象予報の物理学 らくらく突破(一般)を全て並行して読んでいました。
これからは
①気象学入門や一般気象学で全体を見渡す
②らくらく突破では一般と専門を行き来しながら、関連するところは一気にインプット。頭の中にたくさんリンクを貼る。
③徐々に天気図にも触れていく。
というように頑張りたいと思います。
今、夏から秋に季節が移っていて、日本を取り巻く風の向きも変わりました。
温帯低気圧とか季節風とか台風とか・・・肌で実感できるときに頭に入れておかなくては!と思っています。
ファイルメーカー で暗記カードアプリ的なものを作りました
気象予報士試験の内容は、「暗記より理解!」と思っているのですが、
「キーワードに対して、こう思い浮かべたい(イメージや言葉)」というのはあって、反復練習のために暗記カードアプリを使ってみようかなと思いました。
色々と評判のアプリはあるみたいですが、イマイチ続かなくて(たぶんカードの登録が面倒になったのかな…)自分で自分が欲しいものを作りました!(制作に3時間くらいかかった)
こんなの↓
カードを登録して、
リストからTRY!ボタンを押すと、
勉強できます。
See Answerボタンを押すと、
答えが表示されます。
自分が思ったことと答えを照らし合わせて○△×で評価する。
それだけです。笑
↓違うカード
急いで作ったので、中身はぐしゃぐしゃだし、レイアウトによって文字数が違ったりと洗練されてはいませんが、使いたい人がいればどうぞ。
FileMaker GO 16 というiOSのアプリ(無料です)で開けます。
https://www.dropbox.com/s/5gbhxzuwiyiht70/Study%20Card.fmp12?dl=0
その時間勉強しろよっていう感じです笑
せっかく作ったんで、たくさんカードを作ってちょくちょく勉強したいと思います。
時間がないない病
こんばんは。
気象予報士試験の勉強をはじめて結構時間が経ってしまったのですが、
思っていた以上に一般に時間がかかってしまっています。
今から来年1月27日の試験までに、一般・学科・実技の勉強が終わるのか・・・
ネットで色々な体験談を見ていると、1年以内で合格された方もいるんですよね。
その方々のプランを見ていると、どうも私はインプットのスピードが遅いみたい。
復習に時間を割こうとすると、なかなか先に進まない。一般の勉強をいつまで頑張って良いものか、悩んでいます。
そこで今考えていること・・・
①仕事の時間を減らしてもらう
業務効率化で、誰かが1日かけて作っていたプリントをボタン1つで作れるようにしたり…かなり時短に貢献しているはず。そのあたりをアピールしてみる。
②勉強プランの見直し
一般・学科・実技を順番にやるんじゃなくて、同時並行にしてみる。
学校のカリキュラムも、履修し終えてから、もっとこの順番なら効率よくできたじゃん!っと思ったりしていました。独学なので、自分でコントロールできるんだから1度俯瞰してみる。
③教材の見直し
ちょっと本もネットも、情報過多状態かもしれません。
何冊もの本を同時並行で読もうとしていて、結局最後のほうで止まっています笑。
これ!っていうものがないのでしょうがないですが、まだ何も達成感を味わっていないので、一番簡単なこの本を最後までまず読んでみようかな。
図解・気象学入門―原理からわかる雲・雨・気温・風・天気図 (ブルーバックス)
- 作者: 古川武彦,大木勇人
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/03/23
- メディア: 新書
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これらをちょっと試してみて、軌道修正していきたいと思います。