気象ゼミごっこ

気象予報士試験に向けて、大学のゼミみたいに勉強するブログ

降水過程②併合過程

最近は夕焼けがとても綺麗です。秋ですね〜(これは一昨日の写真)

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さて、降水過程の続きです。

 

 

■前回のおさらい

空気塊が上昇し、相対湿度が100%以上になるとき、空気中に浮遊しているエーロゾルが核となって、雲粒ができる。

特に、海のしぶきが蒸発した海塩粒子はその化学的性質(吸湿性)と大きさのおかげで成長しやすい。

凝結過程による雲粒の成長は質量保存則により、時間を関数として記述できる。

それにより水滴の増加量は半径×過飽和度に比例することがわかった。

 

このようなことを紹介しました。

 

今回は、雲粒が雨粒に成長するために必要なもう一段階の過程「併合過程」についてです。

雲粒の併合過程

大きい雲の粒が小さい粒を併合することでより大きくなります。

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大きな雲粒の方が速く落下するので、小さな雲粒と衝突して合体して大きくなります。

・・・あれ?物が落下するとき、物体の落下速度は物体の質量には関係ないって習ったぞ?と思うかもしれません。確かに、真空中ではそうです。

しかし、実際は空気があって、空気は粘性を持っているので落下速度は水滴の大きさで違います。(ここで落下と逆向きに働く力を空気抵抗と言います。本当はこの辺はナビエストークス方程式をちゃんと勉強した方がいいと思うけど、ちょっとスルーします笑)

 

雲粒の終端速度

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ηは粘性係数です。どれだけ粘り気があるかを表す係数ですね。

 

この速度の違いによって併合が実現します。

 

併合過程による水滴の成長

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このように、併合により急激に成長します。

暖かい雨

こうして降る雨を、暖かい雨と言います。

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一度も氷にならずに降る雨を暖かい雨というのに対して、雲の中で氷の粒が大きく成長し落下する際に溶けて雨粒となる雨を冷たい雨と言います。

 

冷たい雨 

 

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日本で降る雨の80%はこの冷たい雨です。 

 

氷晶と過冷却

氷でできた雲の粒を氷晶と言います。

大気の温度が0℃以下で、かつ水蒸気の量が氷面に対して飽和していれば、大気中に氷晶ができそうな気がします。

しかし、水滴はとても小さいと凍りにくく分裂もしやすいので、0℃以下になってもなかなか凍らず、液体として存在します。この状態を過冷却と言います。

過冷却状態はとても不安定でちょっとした刺激があると一気に凍ったり、何か不純物があるとそれを核にして凍り出します。その不純物(異物質の微粒子)のことを氷晶核と言います。

氷晶のほとんどは、氷晶核の助けを借りて生成されますが、 –40℃以下では不純物の助けを借りずとも、過冷却状態を維持することができず、雲粒も凍結します。

 

雲頂の温度が0℃〜−4℃であるような雲はほとんどすべて過冷却の水滴で構成されているので、飛行機で突っ込んでしまうと危険です。過冷却という状態は非常に不安定で少しでも刺激を加えると凍結してしまうからです。

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↑積乱雲内部の上昇気流によって生じる氷晶と水滴の分布(気象学入門より)です。

 

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ちょっと長くなったので、今回はこの辺で。

次回もう少し冷たい雨について書きたいと思います。

専門と実技の勉強もちょっと進めなければ〜