降水過程③冷たい雨
今回は冷たい雨についてです。
前回のおさらい
雲粒は水蒸気の拡散によって凝結するが、それだけでは雨雲にまで成長できない。大きい雲粒が小さな雲粒を併合することで成長し、雨粒と言えるサイズに成長する。併合過程には、空気の粘性による抵抗力が関わっている。空気抵抗が重力と反対の向きに働くおかげで、あるところでそれらの力が釣り合い、それ以降は加速度0の一定の速度(これを終端速度という)で落下する。釣り合いにより、大きい雲粒の方が小さい雲粒よりも終端速度が大きくなる(終端速度は半径の二乗に比例)ので、大きい雲粒が小さい雲粒を併合することができる。
このような過程で、0℃以上の雲から降る雨を暖かい雨という。
一方、雲の中で氷の粒が大きく成長し、落下する際に溶けて雨粒となる雨を冷たい雨という。
雲の中では、氷点下になれば必ず雲粒が凍るわけではなく、0℃以下でも液体の状態を保つ。しかし−40℃以下にもなれば、雲の中には過冷却状態の水滴は存在せず、全て氷晶となっている。
以上のようなことをご紹介しました。(要約なのに長い...苦笑)
今回は、冷たい雨についてもう少し勉強すべく、氷晶の成長過程をまとめていきたいと思います。
氷晶の自己増殖
雲のなかの氷晶核の数は、氷晶よりも過冷却水滴よりも少ないです。
氷晶は氷晶核の助けを借りて生成されるものなのに、どうしてなのでしょうか。
その理由として、氷晶自身に自己増殖作用があるのではと考えられています。
・氷晶は壊れやすく、落下の際に分裂する
・雲のなかの過冷却水滴が凍結するときに氷のかけらが飛び散り、それが氷晶核となっている
以上のような作用があると考えられています。
氷晶の凝結過程
また、氷晶の昇華による成長は凝結による成長と同様に非常に遅いのですが、氷に対する飽和水蒸気圧と水に対する飽和水蒸気圧の違い(水>氷)から、氷晶と過冷却水滴が混在する雲の中では、氷晶が独占的に成長します。
(氷に対する飽和水蒸気圧<水に対する飽和水蒸気圧)
氷晶がどんどん成長している間に、過冷却水滴は蒸発していき小さくなってしまいます。そのおかげで氷晶の独占的な成長が続くのです。
凝集による氷晶の成長
また、過冷却水滴と氷晶が衝突すると水滴は氷晶にくっつき質量が増します。この過程をライミングと言います。その結果できる氷粒子の形は実に様々です。
どんどん捕捉して大きくなって、あられやひょうになります。
こうして成長したあられや雪片が空気中を落下する際に溶けて雨粒となったのが冷たい雨です。日本で降る雨の約80%がこのような雨であるとのことです。
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この分野をまとめるのにすごく時間がかかり、なんだか歯切れが悪いのは、私の理解があまり進んでいないということかもしれません。
なんとなく一般気象学をなぞっただけという感じです。
このような雲の本をお供に、空を眺めるようなことも気象の勉強ですよね!
ぼちぼち頑張りたいと思います⛅️🌈