気象ゼミごっこ

気象予報士試験に向けて、大学のゼミみたいに勉強するブログ

第51回気象予報士試験 学科専門分野 復習②

 


前回に引き続き、第51回気象予報士試験 専門分野を復習していきます。

 

meteorolo.hatenablog.com

問題は気象業務センターのホームページに載っています↓

気象予報士試験

 

 

第51回の専門分野では雷についての問題が2問も出ていましたが、2問とも正解していました!

というのも、前日福岡では雷が鳴っていたんですよね…

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気象庁ホームページより 過去の気象データ

気象庁|過去の気象データ検索

 

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▼ご親切に、過去の気象データ検索のところに天気の記号も載っていました。

www.data.jma.go.jp

 

今回は雷の2問を含む問6〜問10を復習していきます。


 

問6 衛星画像を見比べる

3月のある日の15時の気象について、赤外画像と可視画像を見てわかることを答えよ、というものです。

この問題も下線部の正誤について問われているので、下線部以外の文章と衛星画像2枚を手がかりに問題を解いていきます。文章中には、数時間前からの動画に基づいて衛星写真の説明がなされています。

▼この問題はちょっとキャプチャ載せたいと思います。

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(a) 

Aの部分を画像を見てみると、可視画像では明るく写っていますが、赤外画像ではほとんど周囲と同じ明るさです。問題文では、”輝度は変化するが位置と形状の変化が見られない”と書かれています。

これらに加え、地理的なことを考えるとおそらくこれは雪氷域ではないかと思います。

 

(b)これはもう問題文だけで×です。

可視画像で輪郭がはっきりしていてまだら状なら、霧や層雲ではないでしょう。

画像や問題文中の”ほとんど移動しておらず”という記述、時期から考えると、おそらくBオホーツク海の海氷だと思います。

 

(c)これは正解です。

赤外画像で明るく(白く)写っていることから、輝度温度が低く雲頂高度が高いということがわかります。また、可視画像では赤外よりも暗く写っており、太陽が透ける薄い雲であることがわかります。

 

(d)Dは画像と説明が全然合っていないので×ですね。

まず、可視画像で明るく写っているので薄い雲ではないでしょう。

ジェット気流の方向に直交するように波状になっていることから、トランスバースラインだと思います。

気象衛星センター | トランスバースライン

 

 

問7 日本周辺の高気圧

(a)これは○ですね。

太平洋高気圧は亜熱帯高圧帯で発生する高気圧であり、亜熱帯高圧帯というのは地球全体で考えると、ハドレー循環の下降域に当たります。

太平洋高気圧は、強制的に空気が送り込まれてくるので背が高く、断熱圧縮により地表付近では高温で湿潤な性質を持ちます。

 

meteorolo.hatenablog.com

 

(b)オホーツク海高気圧

オホーツク海高気圧の低温で湿潤な層というのは、地表付近のわずか500mの厚さにしか過ぎないそうです。

京都大学 防災研究所 ホームページより

https://www.dpac.dpri.kyoto-u.ac.jp/mukou/meeting/cd-rom/03/Report/nakamura.pdf

その上空には暖かいブロッキング高気圧があります。

この辺も、ちょっと話すと長くなる内容なので、梅雨について今度改めて記事にしたいと思います!

 

(c)チベット高気圧について

チベット高気圧は対流圏上層のみで見られる高気圧です。チベット高原は、平均標高が4500mでこれは対流圏の中層の高度に相当します。夏季に、チベット高原が日射により熱せられると、直接対流圏中層が温められるため、大気が膨張し、上空の気圧が高くなります。これが日本付近まで張り出してくるとき、太平洋高気圧と重なり合って、猛暑の原因となります。

チベット高気圧は高度15kmあたりに顕著に見られ、100hPa、200hPaの高層天気図で確認することができます。

➡︎○

 

H30年の西日本豪雨に関する資料を読み込んでみようと思います。

一般の出題からもそうですが、やはり豪雨とか猛暑といった災害に繋がるようなことに関してしっかり勉強しましょう!というメッセージを感じます。

気象庁|報道発表資料

 

問8 雷ナウキャスト

 

こちらも気象庁のホームページで勉強していきます!

気象庁|雷ナウキャストとは

 

(a)雷ナウキャストの分解能です。これは覚えます。

<格子間隔1km10分ごとに解析し、10分ごとに1時間先まで予測する>

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気象庁ホームページより

 

雷ナウキャストは雷注意報において「雷に関する注意や予報を補完」する目的で、すでに発生している雷の活動の激しさ雷の可能性を予測します。

 

➡︎(a)は正しいです。

 

(b)雷の解析

雷の解析は、

①雷検知により活動の激しさを予測

②雷雲の解析

によってなされています。

 

①雷監視システム(LIDEN)により、雷から出ている電波を検知します。

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気象庁ホームページより

 

②気象レーダーによって雨雲の特徴を捉え、統計的に過去のデータと照らし合わせて、落雷の可能性を探ります。

 

➡︎(b)は正しいです。

 

(c)活動度の評価

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問題文の通り、雷ナウキャストでは、雷の激しさや雷の可能性を4段階で評価し、活動度1は”現在は雷は発生していないが、今後落雷の可能性がある”ことを示しています。

 

(d)雷の予測

問題文の通りです。また、雷雲の移動予測や減衰傾向の予測では、予測時刻の途中で新たに発生した雷雲については予測できない、という点に注意しましょう、とのことです。雷雲に関しては刻々と変化するものなので、最新の情報を利用していきましょう!

 

 

せっかくなので、続けて雷の問題をやっていきます。

 

問10 雷について

(a)これは問8でも話題にしていたLIDENですね。

雷はどういったときに発生するでしょうか?

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背の高い積乱雲が上昇気流を伴うとき、あられや雹ができます。

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対流活動が激しくなってこれらの落下速度が異なるときに、あられや雹が擦れたり衝突したりして電荷の分離が起こります。あるところまで電荷がたまると、放電します。
これがシンプルな雷の考え方です。

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雷監視システムでは、雷放電からの電波を受信し、雷の位置や発生時刻などを監視しています。

➡︎○

 

(b)年間で雷を観測した日が多いのはどこか?

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気象庁ホームページより

こちらも気象庁のホームページに載っています。

気象庁|雷の観測と統計

 

積乱雲の雲頂温度が−20℃以下になると(過冷却水があられに凍結しやすくなるので)発雷の可能性が急に高くなることがわかっています。

それを考えると、この問題は正解できると思います。

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日本では、冬季に日本海側の地方で雷の発生頻度が高くなります。

問9に出てくる降雪と関連しています。

冬になると、大陸の地表が放射冷却により冷やされ続け、密度が大きくなることにより高気圧になります。(シベリア気団

この冷たく乾燥した空気が相対的に暖かく湿っている日本海を通って日本海側の地域にやってくるとき、性質の違う気団がぶつかることによる気団変質を起こします。こうして日本海からたっぷりと水蒸気と熱を得た空気が対流性の雲として発達します。冬の積乱雲は雲頂高度は低くても、気温が低いので夏より高度が低くても発雷します。

日本海沿岸では夏だけでなく、冬も発雷するということで、一年を通じての発雷数が多くなっています。

➡︎(b)は× 内陸部ではありません。

 

(c)1日の中で雷の検知のピークはどの時間帯か?

これは初耳でしたが、問10は(a)と(b)が分かれば組み合わせ的に正解できたのでスルーしていました。

とはいえ、気象庁のホームページにはちゃんと載っていました!

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気象庁ホームページより

気象庁|雷検知数の季節的特徴

 

夏の雷と冬の雷について、その仕組みから考えると正解できます。

夏季、冬季”ともに”というところが×です。

冬の雷は地表で空気が暖められて発達する積乱雲が原因ではないので、ピークは特にないのですね!

 

(d)冬の日本海沿岸で多く発生する雷

これは難しいですね。

気象庁のホームページを見ても、直接的にこの問題に対する答えが載っているわけではないみたいです。

気象庁|放電密度と落雷害の関係

⬆︎ここを見ると、

冬季は、日最大対地放電密度は夏季よりも小さくなりますが、同じ値における災害発生率は高いことがわかります”

とあります。

この文章から1回の放電でより多く電荷を中和するのは冬であることが読み取れるか(推測できる)と思います。

 

 

問9 山雪型と里雪型 

冬型の気圧配置については、新潟地方気象台のホームページにとてもわかりやすく書かれています。

新潟地方気象台

冬型の気圧配置は大きく2つに分けると、山雪型と里雪型があります。

 

<山雪型>

西高東低、日本付近で等圧線が南北に走り、間隔が狭いときです。

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新潟地方気象台ホームページより

 

日本列島にシベリア大陸からの強い季節風が吹くと、どうなるか?

 

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新潟地方気象台ホームページより

 

①大陸からの強い季節風が相対的に暖かい日本海の海面から水蒸気と熱が供給され気団変質

日本海上で大気不安定➡︎雪雲発生

③強い季節風で山を強制上昇

➡︎雪雲がさらに発達、山地で多雪!

 

<里雪型>

日本海に小低気圧や気圧の谷があるとき(日本海側で等圧線が西にぐにゃっと曲がっている)

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新潟地方気象台ホームページより

 

日本海や日本列島の上空に強い寒気があると、どうなるか?

 

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 ▲新潟地方気象台ホームページより

 

①大陸からの冷たく乾いた気団が日本海上で気団変質

②強い寒気のもと寒気海岸平野部で雪雲の発達がすでに最盛期 

季節風弱く、山地を強制上昇できず

➡︎海岸沿いで雪!(人が多く住んでおり、注意が必要)

 

では、問題を見てみます。

問題は山雪型の図を選びましょう、というものでした。

 

 

▼問題のキャプチャ

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地上天気図はAが里雪型、Bが山雪型ですね。

 

次に気象衛星可視画像を見てみると、AよりBの方が離岸距離が短く、Bの方が上空に強い寒気があったことがわかります。

また、Bは地上天気図での高気圧に対応する暗域や低気圧性循環もみられます。

Aは筋状の雲が北西の風に流されている様子が確認できます。

以上のことから、Aが山雪型、Bが里雪型であるとわかります。

 

最後に500hPa解析図を見てみます。

これは渦度の図ですね。

気圧の谷が日本海側にあるAが里雪型です。

 

▼色々と書き込んでみました。

この辺に寒気があるはず…

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書き込みにちょっと慣れていないのですが、強風軸を引いてみたりとか、日本を塗ってみたりとか…ちょっとずつやっていって、自分の良いスタイルを見つけたいと思います!

 

こんな感じでも選択問題ならなんとか正解できるでしょう〜

 

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今回も5問を振り返るのに、長くなってしまいました。

専門でも天気図とか衛星写真とか見て色々考えるのは楽しいですね。

そろそろ実技の勉強も始めないとまた準備が間に合わなくなるので、まずは専門での実技っぽい問題をたくさんこなしていきたいと思います!

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