気象ゼミごっこ

気象予報士試験に向けて、大学のゼミみたいに勉強するブログ

大規模な大気の運動①大気の大循環

週に1回は更新しようと思っていましたが、2週間ほどご無沙汰になってしまいました😅気象予報士試験まであと49日です😵

もうほとんど今回で合格することは諦めているんですけど、なんとか土台だけはきちんとしておこうと思っているところです。

という訳で、直前ですけどブログも一応続けたいと思います。

今回はちょっとスケールの大きな話をしたいと思います。

地球の熱収支の話から大規模な風について考えたいと思います。

前回のおさらい

前回は風を表す物理量ということで、発散(収束)と渦度という物理量をご紹介しました。

▼水平方向の風の発散(収束)と鉛直流の関係

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▼渦度とは

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▼絶対渦度とは

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▼補足(渦度の発生要因)

手にペンを挟んで回そうと思うと、渦度っていう物理量を知らなくても自然とできますよね。速度の差(シア)によって、鉛直方向にペンが回るんですね。

 

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流れに曲率があるときというのが私はなんとなく理解するのが難しいのですが、専門の勉強で衛星のことを調べていて少しわかった気がします。↓

気象衛星センター | トランスバースライン

ケルビン・ヘルムホルツ不安定性 - Wikipedia

 

 

さて、今回は地球の熱収支について、その偏りを解消するためにどのように熱を輸送しているか、そのために吹いている風についてです。

 

大気の放射の話をした際、このような図で地球の熱収支を表しました。

 

meteorolo.hatenablog.com

 

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地球全体としては、このように吸収する太陽放射量と放出する地球放射量が釣り合っていますが、緯度ごとにみる考えてみると、高緯度では熱が不足し、低緯度では熱が余っています。

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※図解 気象学入門(p134)より

 

この熱の偏りによる温度差を解消するために、低緯度から高緯度に熱が運ばれます。

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赤道付近では太陽からの放射に対して地球の放射が小さいので、よく熱せられて地上付近では低気圧となり、南北から風が吹き込みます(収束)。ぶつかった大気は上昇して、積乱雲が活発に生じます。雲の発生によって凝結熱が放出され、大気が加熱されます。

対流圏界面まで上昇した空気は、それ以上は上昇できずに南北に発散します。

コリオリの力によって赤道付近からの上空の風は東に曲げられ西風に、下層の風は北東風になります。

赤道付近上空の風が高緯度側へ移動するとき、高緯度側にいくほどコリオリ の力が大きく働き風向は西に近づき、風速も強くなります。このように西風が強くなると、ある地域から高緯度側へは風が進めなくなります。そこが亜熱帯高圧帯です。

亜熱帯高圧帯(中緯度付近)では地上の気圧が高くなって、上空から空気が下降してきて地上で発散します。この地上で発散している風は、下降によって空気が断熱圧縮されており、暖かく乾燥しています。このため亜熱帯高圧帯では雨が非常に少なく、降水量よりも蒸発量が多くなるため、砂漠が多くなります。

亜熱帯高圧帯では上空ほど西風が強くなっており、偏西風帯となっています。この偏西風帯の風速の極大域をジェット気流といいます。

赤道上空で自転によって回転していた空気が中緯度帯に移動することにより、風速が強まっているのです。

これは角運動量保存則で確認することができます。

 

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cosφやsinφの取り得る値の範囲からも赤道付近に比べて中緯度の方が西風が強いとわかりますが、具体的に値を入れてみます。

RΩ=460m/s,u0=0m/s,φ=30°を代入してみると

u≒133m/s

赤道付近で相対的に風が吹いていなかったとしても、その空気が緯度30度に移動するとこのように強い風が吹きます。実際には空気抵抗でかなり減速され、30m/sほどになります。

一方、極域では太陽からの放射に対して地球の放射が大きく、極域の上にある空気は冷やされています。そのため地上付近では気圧が高くなり、相対的に気圧の低い低緯度側に空気が移動します。コリオリの力によりこの風は北東風(極偏東風)になります。

この極偏東風が極域に冷たい空気を運び、偏西風が暖かい空気が運びます。その冷たい空気と暖かい空気がぶつかるところを寒帯前線と言い、雲が発生しやすい地帯となっています。この寒帯前線においても上空に行くほど強い西風があり、これを寒帯前線ジェット気流と言います。南北の水平温度傾度特に大きく、そのことが上空ほど西風が強くなるということと関係しています。

これは温度風という概念で説明できます。

(温度風については長くなりそうなので、また次回にしますね!)

 

 

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寒帯前線帯ジェット気流は南北に蛇行しています。

これは、前回お話しした絶対渦度保存則で説明できます。

 

meteorolo.hatenablog.com

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惑星渦度は赤道で0、高緯度ほど大きく、極では最大(2Ω)になります。

絶対渦度保存則より、相対渦度は惑星渦度が増えればその分減り、減ればそれを補うよう増えます。

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北半球で偏西風が吹いている状態の500hPa(非発散場)において、相対渦度0の空気塊が北に移動すると、上の図のように相対渦度が負になります。つまり、高気圧性循環になります。すると、空気塊は向きを変えて低緯度側に向かいます。このようにコリオリ パラメーターが空気塊の南北変位に対して元に戻るように働きます。その結果、偏西風は波打つようになります。(ロスビー波)

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ハドレー循環では直接南北の熱を輸送できていますが、中緯度のフェレル循環ではこのように蛇行することによって南北の熱を輸送することに貢献しています。

 

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今回はこの辺までにしたいと思います!

本当は温度風の話や温帯低気圧の話もぜーんぶまとめてやりたいんですけど、力及ばず…。

個人的には今回の話あたりから一般気象学を読み進めていくスピードが落ちましたし、この記事を書くにも休み休み、数日かかってしまいました😹笑

試験も近づいてきて、純粋に気象の勉強をする楽しみを忘れそうになりますが、テスト対策もしながらまだまだ楽しんでいきたいと思います♩

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