温帯低気圧のライフサイクル
お久しぶりになってしまいました。
最近は、たっぷり時間をかけて実技の問題を解いています。
切ったり貼ったりしてノートにまとめています。
ノートを作るとどうしても作業になってしまうので最初だけにしようかな〜と思っていますが、一旦復習しやすいように資料とそれに対応する問題文と答えをまとめています。(この小さな付箋がお気に入り♪)
さて、流れが途切れてしまっていましたが、気象のお話を…
51回の試験前にはこんな話をしていたんですね。
簡単なおさらいしますと…
おさらい
地球が球形であるため、高緯度側で熱が不足して低緯度側で熱が余ってしまいます。それを自然と均一化(年平均温度が各緯度で変わらないように)するシステムが備わっています。
日本の端と端で考えるとわかりやすいですが、中緯度では特に冬になると、南北水平温度傾度が大きくなります。
そのため上層ほど西よりの風が卓越しています。(偏西風帯)
水平温度傾度が大きいと、等圧面と等温面が一致しない状態(傾圧大気)になり、傾圧性がある程度大きくなると、偏西風が蛇行します。
このように偏西風波動が生じると、下層では低気圧性循環が明瞭になり、温帯低気圧が発生します。
このような話をしました。
今回は、温帯低気圧の発達について考えていきたいと思います。
このトピックに関しては、気象庁の量的予報技術資料(予報技術研修テキスト)に詳しく載っています。
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/yohkens/yohkens.html
温帯低気圧のライフサイクル
▲気象庁 平成29年予報技術資料テキストより
低気圧のステージを①発生期②発達期③最盛期④衰弱期として説明されています。
①発生期(発生〜発達初期)
・上空の気圧の谷の接近で低気圧が発生
・気圧の谷の接近により衛星画像ではバルジが見られる
②発達期
・上空の気圧の深まりとともに低気圧性の渦が強まり、地上では温度移流が強まり前線強化
・衛星画像ではバルジがさらに明瞭化し、寒気の流入により低気圧の中心付近にフックパターン形成される
③最盛期
・上空の気圧の谷が地上低気圧の中心のすぐ西側まで接近し、寒冷前線が温暖前線に追いつき、閉塞前線が形成される
・衛星画像ではドライスロットが低気圧の中心付近まで入り込み、ドライスロット流入点とバルジ北縁に閉塞点が形成される
④衰弱期
・上空の気圧の谷が低気圧の中心のほぼ真上に位置し、低気圧が上層の流れから切り離される
・その後、地上の低気圧は閉塞前線が低気圧の中心から離れて不明瞭化し、低気圧の渦だけが残る
・衛星画像では温度移流が弱まり、低気圧の中心付近で雲頂高度が低下して背の低い雲渦が形成される
以上がベルゲン学派のモデルを基にした低気圧のライフステージです。
(※掲載している衛星可視画像は平成30年予報技術資料テキストより)
気象庁ではこれを基にして低気圧や前線の解析を行なっているんだそうです。
(他の概念モデルも取り入れて解析を行う場合もあるとのこと)
低気圧が発達するかどうか?
低気圧が発達するかどうかはお天気を予測する上で特に気になることですよね。
天気図や衛星画像を見て時間的にも追っていくと、この低気圧が今どの段階にあるのか?あるいはライフサイクルのパターンに当てはめて良いものか?などわかります。
発達する低気圧の特徴として、このようなところに注目します。
・上層の気圧の谷が地上低気圧の西にある(渦軸が西に傾いている)
・低気圧の進行方向全面で暖気が上昇していて、後面で寒気が下降している
・低気圧の前面で暖気移流、後面で寒気移流が卓越している
天気図を見て3次元的に考える必要がありますが、連続の式や渦度と発散(収束)の関係を理解できていれば大丈夫そうです。
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今回は資料の横流しみたいになってしまいましたが、
低気圧のライフサイクルを紹介してみました。
実技の勉強は実況天気図や数値予報天気図などから情報を読み取るということが求められていて、ちょっと理系っぽくない感じです。
実技の解答や短期予報解説資料で一旦フレーズをストックして、上手い言い方ができるようにしたいと思います。