大気の熱力学①状態方程式
■前回のおさらい
前回は「地球大気(鉛直構造)のお話」ということで、地球の大気の構造を勉強しました。
①大気圏とは、地球の引力によって大気が宇宙空間に逃げていかない領域
大気圏と宇宙空間の境界では、分子や原子の運動の速度が大きいと宇宙空間に飛び出す。
②大気圏の鉛直構造
温度変化によって、下から、対流圏・成層圏・中間圏・熱圏に分けられる。
③大気の化学組成は高度約80km(中間圏)まではほぼ一様
成層圏や中間圏でも色々な運動が絶えず起こっており、大気組成は一様である。
大気の密度は高度が低いほど大きく、上空に行くほど空気は薄くなる。(大気の質量80%が対流圏にある。)
④鉛直方向に対流が起こる条件
密度の小さい層の上に密度の大きい層が乗っかると対流が起きる。
空気の密度は温度と気圧に依存する。
⑤成層圏での温度が極大となるのは、高度約50km
太陽からの紫外線をオゾンがよく吸収し、温度が高くなる。
オゾンの密度の極大は高度25kmだが、上空から紫外線を吸収していって下層に達する時にはそのぶん弱い放射となるので、25kmより高いところで温度が極大になる。
以上のようなことを書きました。
今回は気体の状態方程式について書いていきたいと思います。
圧力や温度、体積といった気体の状態の関係式です。
高校の物理や化学でも勉強する内容です。
まず、私たちが物体を熱いとか冷たいと感じる感覚の実態とは何なのでしょうか。
それは(色んな近似をしたら)、その物体を構成している分子1つ1つの運動エネルギーの総和であると言えます。これが物体の内部エネルギーです。
それを踏まえた上で、気体の圧力・体積・温度にはこのような関係が成り立つと、感覚的に理解できると思います。
ボイル・シャルルの法則でその感覚は実際の測定の結果、実証されています。
これを普遍気体定数という値を定義することによって、このように表現します。
これが高校で習う「理想気体の状態方程式」というやつです。
気象の勉強では、この「理想気体の状態方程式」が表現を変えて
気体定数という、それぞれの気体に固有の値(分子量に反比例)によって表されます。
(気象の勉強では国際単位系を使いますので、普遍気体定数も1molあたりからの数から1kmolに書き換えます。)
この表現だと、1つの状態方程式で1種類の気体についてしか記述できませんね。
しかし、私たちは複数の気体が混在する大気について考えたいので、このような法則を持ち込みます。
分圧というのは、その気体が混合気体と同温度・同容積を占めているときの圧力を言います。
これで、各成分気体の重量比と分子量が与えられれば、混合気体の平均分子量と気体定数が得られます。
まず、乾燥空気(対流圏の大気の水蒸気を除いた空気)について。
このような値を入れこむと、
このように乾燥気体を表すことができます。
乾燥空気1kgを1K上昇するために必要な熱量は287Jであるということを意味しています。
では、水蒸気についても考えてみましょう。
つまり、水蒸気1kgを1K上昇するためには461Jの熱量が必要であるということです。
乾いた空気よりも湿った空気が暖まりにくく冷めにくいということが分かりました!
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今回は、状態方程式を勉強しました。
気象の勉強は範囲が広いようにも思いますが、扱う物理法則は大体こんなかんじです。
・熱力学第一法則
(・放射 プランクの法則など)
勉強する内容が、すべてこのような法則でつながっていると考えると、
試験範囲の広さに萎える気持ちが少し楽になるのでは?
・・・と言ってみても、
一般の内容を読み進めていくだけでもかなり時間がかかっており、
まだまだ先が長く感じます。
んーーーー冴えた頭が欲しいーーー(>_<)