気象ゼミごっこ

気象予報士試験に向けて、大学のゼミみたいに勉強するブログ

地球大気(鉛直構造)のお話

■前回のおさらいと加筆

前回「太陽系のお話」ということで、太陽系について勉強しました。

meteorolo.hatenablog.com

①太陽とは巨大なガスの塊である

宇宙に漂う星間ガスの密度のゆらぎから、自己重力(万有引力)によって質量の大きいほうへ・・・と集まって、圧縮によって温度が上昇し、核融合を行うようになった。

 

②太陽系惑星は「地球型惑星」と「木星型惑星」に分けられる

地球型惑星は太陽からの距離が近く、平均密度の高い岩石からなる惑星。天体衝突や火山活動によって、難揮発性物質と揮発性物質が分離(脱ガス)し、現在のような大気になった。

 

③地球は脱ガス過程で多量の水蒸気が大気中に放出された

火山ガスにより、多量の水蒸気が大気中に放出され、雲ができ、雨が降って、海ができた。激しい降水で陸が侵食され、中和された海に二酸化炭素が溶けた。

 

ざっくりと以上のような内容を書きました。

地球型惑星の温度に関する記述が全くなかったので加筆します。↓

 

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地球では温度や気圧がちょうどいいので、水が液体として存在できるのですね。

 

それでは、今回の内容に入っていきます。

太陽からは高温で電離した粒子(プラズマ)が絶えず吹き出しています。(太陽風

また、地球の中心では磁場が生成されています。

地球の磁力線は周りに何もなければ棒磁石のように考えることができますが、太陽風の影響で、このような形になります。↓

気象の勉強では、大気圏について考えていきます。

 

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■大気圏とは

プラズマ圏、電離圏の内側の大気圏についてです。

大気圏とは、大気が宇宙空間に出て行かない内側のことです。

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大気圏で大気が出て行かないのは地球の重力が働いているからです。(静力学平衡)f:id:meteorolo:20180902125045p:image

※静力学平衡は雲が浮かんでいられる理由の1つ。その説明をしようとすると、空気の抵抗力を考える必要がある。

 

大気圏と宇宙空間の境界を外気圏と呼んでいます。

外気圏では、分子や原子が少なく衝突する確率が低いので、軌道を描いて運動していますが、あまりにそのスピードが速いと、宇宙空間に飛び出すものもあります。

 

では、どれくらいの速ければ、宇宙空間に飛び出すのでしょうか。

 

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これ以上の速度で運動すると飛び出します。

h=0で計算すると、約11km/sで飛び出すということがわかります。

 

■大気圏の鉛直構造

では大気圏を詳しく勉強していきます。

大気圏は温度変化に応じて、下から対流圏・成層圏・中間圏・熱圏に分けられます。

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・対流圏

 地表から上空11kmぐらいまでは、対流運動が起こっており、高度が1km上昇するごとに気温が約6.5K下がります。

乾燥した空気は断熱的に1km上昇するごとに約10K下がりますが、大気は水蒸気を含んでいるので、気温減率は約6.5Kです。

 

ここで、対流が起こる条件を勉強します。

密度の差が対流を起こします。

水の密度はほとんど温度によりますが、空気の場合はもう少し複雑で、密度は温度と気圧に依存します。

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 乾燥した空気は断熱的に1km上昇するごとに約10K下がり、また飽和した空気塊は1km上昇するごとに約5K下がります。(飽和している空気塊は、温度が下がると飽和水蒸気密度も下がるから、凝結または昇華することによって熱を放出し、減率は乾燥空気ほど大きくない)

このことから、 対流が起こっているということと、1kmごとの気温減率が約6.5Kであるということの関連がわかったかと思います。

 

成層圏

高度約11kmより上空へ昇ると、高度とともに温度がほとんど変わらない領域があります。さらに上を見ると、今度は高度とともに温度が上昇しており、高度約50kmで温度は極大となります。これは、成層圏には太陽光に含まれる紫外線をよく吸収するオゾンを多く含む層(オゾン層)があるからです。

高度とともに温度が上がっていくということは大気は対流しておらず、安定しているように思えます。しかし、実際には成層圏では色々な運動が絶えず起こっており、その結果として、高度80kmくらいまでは大気の化学組成はほぼ一様になっています。

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 高度約80kmまでは大気組成が一様で、空気の密度は下層ほど大きいので、酸素分子や触媒となるMの数は下層ほど多くなります。一方、酸素原子の数は上層の方が多くなります。そのかねあいで、高度約25kmで三体衝突のチャンスが最大となり、オゾンの密度が極大となります。

ところが、温度の極大は高度25kmではなく高度50kmです。

太陽からの紫外線は先に上層のオゾンに吸収されて、下層に達するときにはすでに弱っているので、密度の極大より少し上空のところに温度の極大があるのです。

 

・中間圏

成層圏のさらに上は、次第にオゾンが少なくなっているので、高度とともに温度が低くなっています。大気の化学組成は、中間圏まではほぼ一様となっています。

 

・熱圏

熱圏では、非常に温度が高くなっています。

しかしこの領域では空気が非常に薄いため、全体として熱く感じられません。

熱圏の下部では、極地方で見られるオーロラができます。太陽風と地球磁場が作用し合うことで地球のまわりに生じた電流が地球大気に流れ込み、あのように発光しています。

 

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また長くなってしまいました。どうやら要約が下手なようです。

次回は大気の熱力学に入ります。

ここまではお話のような感じでしたが、次回からは数式や物理法則がでてきます!