気象ゼミごっこ

気象予報士試験に向けて、大学のゼミみたいに勉強するブログ

大気の力学③p座標系

なかなか勉強が捗っていない私です😅

演習が全然できていなくて、このままだと学科合格もかなり怪しいです😂

しかしやっぱり基礎が大事だと思いますので、この辺のところはブログにきっちりまとめていきたいと思っています!

 

今回は、前回の補足として気圧傾度力がない場合の空気の運動(慣性振動)や気圧傾度力と遠心力がバランスして吹く風(旋衡風)についてお話したあと、これから下層から上空と立体的に風の話をしやすくするために、高層天気図やそこで使われる座標系のお話をしたいと思います。

 

前回のおさらい

空気は気圧の高い方から低い方へと移動しようとする。(気圧傾度力

地表面の摩擦を考えなくても良い上空で等圧線が平行なところでは、気圧傾度力コリオリの力がだいたい釣り合っていると考えて良い。(地衡風

風の流れが曲率を持つような場合は、コリオリ力と遠心力が気圧傾度力とバランスしていると考えて良い。(傾度風)

以上のように考えると、高気圧の周りの空気は時計回りに吹き出すように、低気圧の周りの空気は反時計回りに巻き込むような循環があるとわかる。(高気圧性循環と低気圧循環)

さらに、高気圧の風は気圧傾度に制限があることがわかる。低気圧は台風のような強い風を伴うが、高気圧はそのような強い風を伴うことがない。

 

以上のようなことを勉強しました。

 

傾度風の式から、慣性振動と旋衡風のお話をしたいと思います。

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※竜巻の図は気象庁ホームページ(気象庁|竜巻などの激しい突風とは)より 

慣性振動

前回もご紹介しましたが、傾度風の式をグラフにしたらこのようになります。

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このグラフから、気圧傾度力が0のとき、風が吹いていないかもしくは高気圧性の風が吹いていることがわかります。大気中では滅多に観測されないけれど、流れが弱い海洋の中ではよく観測されるそうです。

 

旋衡風

コリオリの力が遠心力と気圧傾度力に比べて無視できるような場合(気圧傾度力が強く、風の速さが大きくて、曲率が大きいとき)の風を旋衡風と言います。

竜巻はこの旋衡風に相当します。

コリオリ力が無視できるということは、中心は低気圧でも回転は時計回りでも反時計回りでも可能ということです。ただ、竜巻は強い上昇流を伴うような巨大な積乱雲(スーパーセル)のもとで発生することが多く、そのような親雲がコリオリ力の影響で低気圧性の回転をしているので、北半球ではほとんどの竜巻が反時計回りの渦回転をしています。

**竜巻**

  • 小さなスケール(数十m〜数百m)で極めて大きな気圧傾度(周囲との気圧差が20〜40hPa)→猛烈な風
  • 大気の成層状態が不安定なときに起きる
    上空に積乱雲や積雲があり、この雲底から漏斗雲が垂れ下がっている
  • 渦の中心の気圧低下によって空気塊が断熱膨張(冷却)し、水蒸気が凝結する
    漏斗雲(象の鼻のような白っぽいの)

**塵旋風(じんせんぷう)**

  • 学校の校庭などで起きる砂埃を伴う渦巻き
  • 竜巻とは違って上空に親雲を伴わない

気象庁|竜巻等の突風データベース

 

 p座標系(高層観測の方法)

上空の状態を知るのに、等圧面天気図が使われています。

天気図でみられるような総観スケールの大気現象について考えるとき、その広がりが対流圏の厚さ約10kmに比べて非常に大きい(2桁以上大きい)ため、鉛直方向に関しては、静力学平衡が成り立っていると考えます。(高度と気圧は静力学平衡の式で1対1の関係になっている。)

※気象現象を水平方向の大きさによって分類したとき、1000km〜10000kmのスケールで起こる現象を総観スケールといいます。

高層の観測のために使われるのが、ラジオゾンデというものです。

気象庁 | ラジオゾンデによる高層気象観測

ゴム製の気球に水素またはヘリウムを入れた気球に、気圧・気温・湿度を測定する観測機器をぶら下げて地上で放ちます。気球の中のガスが膨張してあるところで破裂しますが、それまでは観測できます。

観測した気圧・気温の値から高度を計算(静力学平衡)して、人工衛星によるGPS解析から位置のズレを得て、各高度の風向・風速を求めることができます。

GPS機能のあるラジオゾンデGPSゾンデ)もあります。)

このようにして得た情報を元に同じ気圧を持つ面に高度や風向・風速・気温・湿数をプロットして、高層天気図ができます。

このような等圧面天気図は、気象要素を気圧の関数として見ています。

独立変数(t,x,y,z)ではなくて独立変数(t,x,y,p)で表されているんですね。

このような座標系をp座標系と言います。

この座標系は3次元で風を考える際に便利です。

というのも、流体の連続の式を考える場合にとてもシンプルになるからです。

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式から密度が消えてシンプルになりました。

ここを起点にして色んなお話ができると思いますので、次回からやっていきます。

最後に気象の勉強にもお役立ちな動画をご紹介します!

youtu.be

youtu.be

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風の発散(収束)とか渦度とか理解しようとするとき、ベクトルで扱えると便利です。

ヨビノリ たくみさんはめちゃ賢くて、難しいことも多くの人がわかるように説明してくれています。

 

キリが悪いですが、今回はこの辺で(^^)/~~~