大気の力学②風について
気象予報士試験まであと73日です!ついに受験申請期間がスタートしました〜
(ちょっとまだ合格が全然見えないんですけど、なんとか踠いてみようと思っているところです。笑)
さて、今回は風についてお話ししたいと思います。
前回は高校の物理でも習う運動方程式からコリオリの力の話を少ししました。
(座標を回転させたり、極座標系に変換したり)
今回はそれらを使ってもうちょっとコリオリの力についてもう一度考えて、空気の運動(風)についての勉強をしていきます。
(目次がだんだん気象っぽくなってきたな…)
前回のおさらい(コリオリの力について)
回転座標系で運動方程式は、
極座標で書くと、
ただ座標を変換しただけです。
これから地球を対象にしていきます。
回転座標系で表すことで回転はできましたから、次は地球用に球面にするんですね。
緯度情報を入れてあげます。具体的は、回転座標系のωにω=Ω sinφを代入しましょう。
北極点ではω=Ωとなり、赤道ではω=0、南極点ではω=-Ωとなります。
これで緯度φにおけるコリオリ力は、ω=Ω sinφを代入することによりこのようになります。東西方向および南北方向に2Ωsinφが共通因子となっているのでこれをコリオリパラメータと言い、f=2Ωsinφと表します。
コリオリ力=f×V
やっと教科書で紹介されているコリオリの力になりました!
気圧傾度力(流体の運動方程式)
さて、では風について考えていきます。
風っていうのはざっくりいうと空気(分子)の流れのことです。
風船を膨らませてから口を結ばずに手を離すと、風船から自分が吐いた息が返ってきますね。空気は気圧を一定にするように動こうとするので、このように気圧の高い方から低い方へ流れます。これが気圧傾度力です。
これも運動方程式で考えることができます。
流体の場合、質点の運動方程式と違って流体の形が時間とともに変化するので、それに伴って圧力が変化しています。その圧力のみを外力として考えると、このように運動方程式を立てることができます。
空気の流れが直線の場合の風(等圧線平行)→地衡風
平行な等圧線を書いてみると、気圧傾度力はこのように表すことができます。
そしたら、風は等圧線に垂直に吹くのかな?と思ったらそうではありません。
なぜなら、地球は自転しているのでコリオリの力を考えなくてはならないからです。
高層天気図をみると、風はほぼ等圧線に平行に吹いています。
これは、地表の摩擦の影響を考えなくても良い上空では、気圧傾度力とコリオリの力がだいたい釣り合っているように風が吹いているからです。
このように、等圧線に対して平行に吹く風を地衡風と言います。地衡風は、気圧傾度力がコリオリ力と釣り合っていると仮定したときの(仮想的な)風です。
上空の風は地衡風に近似して考えることができますが、地表付近ではどうでしょうか。
私たちは、ビルの高いところに行くと風が強いなと感じることがありますね。
これは、地表付近では摩擦力が働いて風が弱まっているからなんですね。
摩擦力が大きいほど、地衡風より風が弱くなり、風向きも等圧線を横切るように低圧側に流入するようになります。風が等圧線となす角は、陸上では30〜40°、海上では〜20°になります。(陸上では摩擦力が大きい)
風の流線が曲率を持つとき→傾度風
等圧線が平行ではなくて、曲率を持つ場合についても考えてみます。
シンプルに、同心円状の等圧線とそれに沿う流れを考えます。
低気圧や台風をイメージするとわかりやすいと思います。
ここから考えます。
遠心力が低気圧では風を弱め、高気圧では風を強めています。
低気圧性曲率と高気圧性曲率
傾度風の曲率がない場合(r= ∞)が地衡風なので、
低気圧性循環は反時計回りに回り込む、高気圧性循環は時計回りに吹き出すというのがわかります。
高気圧の場合、ある気圧傾度を超えると平衡が成り立たなくなって、外向きに風が吹き出します。
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今回はこの辺で。
ちょっと朝型生活始めてみようかな、と思ったらもう眠くて。笑
次回も風の話を続けていきたいと思います。