大気の力学③p座標系
なかなか勉強が捗っていない私です😅
演習が全然できていなくて、このままだと学科合格もかなり怪しいです😂
しかしやっぱり基礎が大事だと思いますので、この辺のところはブログにきっちりまとめていきたいと思っています!
今回は、前回の補足として気圧傾度力がない場合の空気の運動(慣性振動)や気圧傾度力と遠心力がバランスして吹く風(旋衡風)についてお話したあと、これから下層から上空と立体的に風の話をしやすくするために、高層天気図やそこで使われる座標系のお話をしたいと思います。
前回のおさらい
空気は気圧の高い方から低い方へと移動しようとする。(気圧傾度力)
地表面の摩擦を考えなくても良い上空で等圧線が平行なところでは、気圧傾度力とコリオリの力がだいたい釣り合っていると考えて良い。(地衡風)
風の流れが曲率を持つような場合は、コリオリ力と遠心力が気圧傾度力とバランスしていると考えて良い。(傾度風)
以上のように考えると、高気圧の周りの空気は時計回りに吹き出すように、低気圧の周りの空気は反時計回りに巻き込むような循環があるとわかる。(高気圧性循環と低気圧循環)
さらに、高気圧の風は気圧傾度に制限があることがわかる。低気圧は台風のような強い風を伴うが、高気圧はそのような強い風を伴うことがない。
以上のようなことを勉強しました。
傾度風の式から、慣性振動と旋衡風のお話をしたいと思います。
※竜巻の図は気象庁ホームページ(気象庁|竜巻などの激しい突風とは)より
慣性振動
前回もご紹介しましたが、傾度風の式をグラフにしたらこのようになります。
このグラフから、気圧傾度力が0のとき、風が吹いていないかもしくは高気圧性の風が吹いていることがわかります。大気中では滅多に観測されないけれど、流れが弱い海洋の中ではよく観測されるそうです。
旋衡風
コリオリの力が遠心力と気圧傾度力に比べて無視できるような場合(気圧傾度力が強く、風の速さが大きくて、曲率が大きいとき)の風を旋衡風と言います。
竜巻はこの旋衡風に相当します。
コリオリ力が無視できるということは、中心は低気圧でも回転は時計回りでも反時計回りでも可能ということです。ただ、竜巻は強い上昇流を伴うような巨大な積乱雲(スーパーセル)のもとで発生することが多く、そのような親雲がコリオリ力の影響で低気圧性の回転をしているので、北半球ではほとんどの竜巻が反時計回りの渦回転をしています。
**竜巻**
- 小さなスケール(数十m〜数百m)で極めて大きな気圧傾度(周囲との気圧差が20〜40hPa)→猛烈な風
- 大気の成層状態が不安定なときに起きる
上空に積乱雲や積雲があり、この雲底から漏斗雲が垂れ下がっている - 渦の中心の気圧低下によって空気塊が断熱膨張(冷却)し、水蒸気が凝結する
→漏斗雲(象の鼻のような白っぽいの)
**塵旋風(じんせんぷう)**
- 学校の校庭などで起きる砂埃を伴う渦巻き
- 竜巻とは違って上空に親雲を伴わない
p座標系(高層観測の方法)
上空の状態を知るのに、等圧面天気図が使われています。
天気図でみられるような総観スケールの大気現象について考えるとき、その広がりが対流圏の厚さ約10kmに比べて非常に大きい(2桁以上大きい)ため、鉛直方向に関しては、静力学平衡が成り立っていると考えます。(高度と気圧は静力学平衡の式で1対1の関係になっている。)
※気象現象を水平方向の大きさによって分類したとき、1000km〜10000kmのスケールで起こる現象を総観スケールといいます。
高層の観測のために使われるのが、ラジオゾンデというものです。
ゴム製の気球に水素またはヘリウムを入れた気球に、気圧・気温・湿度を測定する観測機器をぶら下げて地上で放ちます。気球の中のガスが膨張してあるところで破裂しますが、それまでは観測できます。
観測した気圧・気温の値から高度を計算(静力学平衡)して、人工衛星によるGPS解析から位置のズレを得て、各高度の風向・風速を求めることができます。
(GPS機能のあるラジオゾンデ(GPSゾンデ)もあります。)
このようにして得た情報を元に同じ気圧を持つ面に高度や風向・風速・気温・湿数をプロットして、高層天気図ができます。
このような等圧面天気図は、気象要素を気圧の関数として見ています。
独立変数(t,x,y,z)ではなくて独立変数(t,x,y,p)で表されているんですね。
このような座標系をp座標系と言います。
この座標系は3次元で風を考える際に便利です。
というのも、流体の連続の式を考える場合にとてもシンプルになるからです。
式から密度が消えてシンプルになりました。
ここを起点にして色んなお話ができると思いますので、次回からやっていきます。
最後に気象の勉強にもお役立ちな動画をご紹介します!
風の発散(収束)とか渦度とか理解しようとするとき、ベクトルで扱えると便利です。
ヨビノリ たくみさんはめちゃ賢くて、難しいことも多くの人がわかるように説明してくれています。
キリが悪いですが、今回はこの辺で(^^)/~~~
大気の力学②風について
気象予報士試験まであと73日です!ついに受験申請期間がスタートしました〜
(ちょっとまだ合格が全然見えないんですけど、なんとか踠いてみようと思っているところです。笑)
さて、今回は風についてお話ししたいと思います。
前回は高校の物理でも習う運動方程式からコリオリの力の話を少ししました。
(座標を回転させたり、極座標系に変換したり)
今回はそれらを使ってもうちょっとコリオリの力についてもう一度考えて、空気の運動(風)についての勉強をしていきます。
(目次がだんだん気象っぽくなってきたな…)
前回のおさらい(コリオリの力について)
回転座標系で運動方程式は、
極座標で書くと、
ただ座標を変換しただけです。
これから地球を対象にしていきます。
回転座標系で表すことで回転はできましたから、次は地球用に球面にするんですね。
緯度情報を入れてあげます。具体的は、回転座標系のωにω=Ω sinφを代入しましょう。
北極点ではω=Ωとなり、赤道ではω=0、南極点ではω=-Ωとなります。
これで緯度φにおけるコリオリ力は、ω=Ω sinφを代入することによりこのようになります。東西方向および南北方向に2Ωsinφが共通因子となっているのでこれをコリオリパラメータと言い、f=2Ωsinφと表します。
コリオリ力=f×V
やっと教科書で紹介されているコリオリの力になりました!
気圧傾度力(流体の運動方程式)
さて、では風について考えていきます。
風っていうのはざっくりいうと空気(分子)の流れのことです。
風船を膨らませてから口を結ばずに手を離すと、風船から自分が吐いた息が返ってきますね。空気は気圧を一定にするように動こうとするので、このように気圧の高い方から低い方へ流れます。これが気圧傾度力です。
これも運動方程式で考えることができます。
流体の場合、質点の運動方程式と違って流体の形が時間とともに変化するので、それに伴って圧力が変化しています。その圧力のみを外力として考えると、このように運動方程式を立てることができます。
空気の流れが直線の場合の風(等圧線平行)→地衡風
平行な等圧線を書いてみると、気圧傾度力はこのように表すことができます。
そしたら、風は等圧線に垂直に吹くのかな?と思ったらそうではありません。
なぜなら、地球は自転しているのでコリオリの力を考えなくてはならないからです。
高層天気図をみると、風はほぼ等圧線に平行に吹いています。
これは、地表の摩擦の影響を考えなくても良い上空では、気圧傾度力とコリオリの力がだいたい釣り合っているように風が吹いているからです。
このように、等圧線に対して平行に吹く風を地衡風と言います。地衡風は、気圧傾度力がコリオリ力と釣り合っていると仮定したときの(仮想的な)風です。
上空の風は地衡風に近似して考えることができますが、地表付近ではどうでしょうか。
私たちは、ビルの高いところに行くと風が強いなと感じることがありますね。
これは、地表付近では摩擦力が働いて風が弱まっているからなんですね。
摩擦力が大きいほど、地衡風より風が弱くなり、風向きも等圧線を横切るように低圧側に流入するようになります。風が等圧線となす角は、陸上では30〜40°、海上では〜20°になります。(陸上では摩擦力が大きい)
風の流線が曲率を持つとき→傾度風
等圧線が平行ではなくて、曲率を持つ場合についても考えてみます。
シンプルに、同心円状の等圧線とそれに沿う流れを考えます。
低気圧や台風をイメージするとわかりやすいと思います。
ここから考えます。
遠心力が低気圧では風を弱め、高気圧では風を強めています。
低気圧性曲率と高気圧性曲率
傾度風の曲率がない場合(r= ∞)が地衡風なので、
低気圧性循環は反時計回りに回り込む、高気圧性循環は時計回りに吹き出すというのがわかります。
高気圧の場合、ある気圧傾度を超えると平衡が成り立たなくなって、外向きに風が吹き出します。
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今回はこの辺で。
ちょっと朝型生活始めてみようかな、と思ったらもう眠くて。笑
次回も風の話を続けていきたいと思います。
大気の力学①運動方程式をいじる
お久しぶりの投稿になってしまいました。
最近はちょっとインプットばっかりで、問題を解いたりブログ更新したりっていうアウトプットが滞りがちでした😅専門分野でちょっと苦戦しておりまして…
今回はリフレッシュのためにも運動方程式をいじってみたいと思います。
まず、運動方程式って何?というところから。
運動方程式とは
本当は、この箱の重心にだけ質量があるわけじゃないんだけど、重心にこの箱の全質量が集中していると考えると、物体の運動(加速度)はこのようにシンプルに表すことができます。
目の前の運動について考えるのであれば、大体の運動はこのまま運動方程式を使って記述することができるのですが、地球は自転していますよね。
ですから、地球の中にいる私たちの視点で地球規模の運動を考えるときにはちょっと工夫が必要なんです。
今回は、地球の中にいる人が地球の運動を考えやすくするために、
①座標を回転させよう
②極座標に変換してみよう
以上を実践してみたいと思います。
というように、自然と分解できますのでお楽しみに😄
①座標を回転させよう
この運動方程式の右辺第1項が回転座標系の中からみた見かけの運動、第2項をコリオリの力、外向きに働く第3項を遠心力と言います。
②極座標に変換してみよう
今度は極座標で考えてみます。
このθを、地球の自転によって変化した分と相対運動によって変化した分とで分けてみると、
このように、地球の自転による遠心力とコリオリの力がみえます。
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今回はただひたすらに微分してみました。
面倒臭いけど、深く考えずに計算してみるっていうのも、リフレッシュ…にはならないかもしれないけど、無心になれます笑
コリオリの力とか遠心力って特別どこかから湧いてきた力ではないっていう解釈でいいんじゃないでしょうか。
今回運動方程式をいじってみましたが、これは風を考える上での下ごしらえなんです!
次回、風についてまとめていきたいと思います。
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大気の放射②太陽の熱
前回に引き続き、大気の放射について勉強します。
前回のおさらい
①光は波であり、粒子である。光が物質に当たったとき相互作用により反射
②太陽光(電磁波)が大気中のエーロゾルに入射するとき、光はレイリー散乱する。
その散乱の強さは電磁波の波長の4乗に反比例する。(波長が短いほど散乱が強い)
→空が青く見える →夕焼けが赤く見える
③太陽光(電磁波)が大気中の雲粒に入射するとき、光はミー散乱する。
その散乱の強さは電磁波の波長の長さにほとんど依存しない。
→雲が白く見える
④太陽光(電磁波)が大気中の雨粒(や氷晶)に入射するとき、光は屈折や反射をする。
→虹や彩雲などの大気光学現象
このようなことを勉強しました。
太陽と地球
地球は地軸が公転軌道面の垂直線に対して、23.5度傾いています。
そのため、太陽と地球の位置関係によって、太陽から受ける熱の量が違います。それが季節の変化が起きる要因なんですね。
この図を見てわかるように、夏至の日というのは、緯度23.5度の地点の南中高度(正午における太陽の高度角)が90°になる日です。北半球で一番昼が長い日です。
逆に冬至の日は、南緯23.5度の地点の南中高度が90°になる日です。
春分点と秋分点は、黄道と天の赤道が交わる点なので、春分の日と秋分の日は、緯度0度(赤道面)で南中高度が90°になります。
太陽からの熱
電磁波を放射しているエネルギー源となるものが中心にあって、中心からの距離が異なる球体がその周りを包んでいるとき、球体上で受け取る全熱量は等しくなります。このように放射強度という物理量で式に表すことができます。(垂直に入射するものとすると)
太陽が太陽の周りで放射している放射量と太陽と地球の大気までの距離をrとした球面が受ける全放射量は等しく、地球大気の上端で受ける太陽からの放射強度は太陽定数として定義されています。
以前太陽系のお話をしたときに、太陽の温度について触れました。
*****以下引用******
太陽の温度は大体6000Kくらいです。
この6000Kという温度はどうやって測ったのでしょうか。
昼は太陽の光で空が明るいですね。それは太陽からの電磁波の放射は可視光線を含んでいるからです。
太陽からの電磁波の分布は、大体こんな感じです。
この曲線が極大となる(波長λで微分して0となる)のは、λ=0.5μmのところです。
0.5μmの電磁波は青色の光です。
太陽だけでなく、一般的によく放射する物体は入射してきた放射をよく吸収します。(キルヒホッフの法則)
またプランクによれば、あらゆる物体はその物体の温度や性質によって、放射する電磁波のエネルギーが決まっています。
プランクは、黒体(入射された放射を全て吸収する物体)から放射されるエネルギーを理論的にこのように表しました。
さらに、エネルギーが最大となる波長は、
つまり、高温の物体ほど放射するエネルギーがピークとなる波長が短いということです。この法則はウィーンにより発見されました。
このようなことから、太陽の温度が6000Kというのがわかるのです。
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色温度と実効温度
これは、観測された波長の長さから太陽の温度を求めたもので色温度と言います。
一方、太陽定数を使って太陽の表面での放射強度からも太陽の温度を求めることができます。温度と放射強度の関係式(ステファン・ボルツマンの法則)から太陽の温度を割り出します。この温度を実効温度と言い、色温度と実効温度には少し乖離があります。
それは、太陽の光球が固体ではなく、固体の外側には太陽大気があって放射過程が複雑だからです。
地球の放射平衡
大気の存在しない真空の地球表面では、1秒あたりに地球が受け取る太陽放射量と、射出する地球放射量とが釣り合い、放射平衡が成り立つと考えられています。
この関係を使うと、地球に大気がなかったときの地球の放射平衡温度を知ることができます。
地球に大気がなかったら、激寒なんですね。
というのも地球大気には温室効果があります。
温室効果
1年を通して地球全体で平均した単位面積当たりの放射エネルギー輸送量を図で描いたのが、こちらです。↓
太陽からの放射は、対流圏に到達する前に紫外線がオゾンにより吸収されます。
大気上端で観測される放射の約20%は大気中の水蒸気やオゾン・酸素分子によって吸収されます。大気は透明であり光を通しますが、これは太陽からの放射のうち可視光の進行は妨げないということです。この20%の吸収というのは、可視光以外の波長の電磁波(主に赤外線)を吸収しています。
したがって地表に到達する放射の大部分は可視光です。温められた地表は赤外線の放射を強めます。この赤外線が大気中の水蒸気に吸収され、大気を温めます。
ある波長の電磁波をよく吸収する物質は、その波長の電磁波をよく放射するという性質があります。(キルヒホッフの法則)
水蒸気は多くの波長の赤外線をよく吸収し、赤外線をよく放射します。ですから、大気は地表からの赤外放射を吸収する一方で、温められた大気は赤外線を放射しているのです。この大気からの放射は、一部宇宙へと逃げていきますが、多くはまた地表に向かい、再び地表を温めます。
これが大気の温室効果です。
つまり、大気があることによって、大気や地表の温度が高く保たれているんですね。
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今回は大気の放射についてまとめてみました。
文章を書くって難しいですね笑
厳密には説明できていないと思いますので、また加筆修正するかもしれません。
次回は大気の運動についてお話したいと思います。
運動方程式から出発して、風を語りたいと思います!
力学は割と好きなんで、楽しみです🐧
大気の放射①光と物質
最近は空を撮るのにハマっています。
この写真、太陽の周りの雲が虹色になっているのおわかりいただけますか?
あからさまじゃないのでわかりにくいですが、このような雲を彩雲と言います。
以前もご紹介した通り、太陽の光はこのように↓可視光の波長をカバーしています。
私たちが色々なものの色を認識するとき、例えばりんごを見るとき、白色光(太陽光)がりんごに入射し、白色光のうち赤色に相当する波長の光が反射されて私たちはりんごが赤いと認識するんですね。
彩雲というのは、雲の中の水滴に入射したが太陽光を回折して、雲が彩られて見える現象です。
こんな感じです。
このように、私たちは太陽からの放射に左右されて生きています。
前回までは降水過程のお話をまとめていましたが、今回からは太陽放射がどのように気象に関わっているのかを勉強をしていきたいと思います。
せっかく彩雲の話をしたので、まず目に見える太陽の光の話をしたいと思います。
光は粒子であり、波でもあるのですが( 粒子と波動の二重性 - Wikipedia )
光を物質に当てると、どうなるか?ということをちょっと紹介します。
といっても散乱とか結構難しいんですよね。電磁気(マクスウェル方程式)を理解しなくちゃいけなくて…そして結局、量子力学という難しい世界に足を踏み入れてしまうことになる…
なのでここでは深入りせずに、もやっとしたままですが気象予報士試験の勉強に必要な程度でまとめて生きます。
まず、光が物質に当たったとき、原子レベルでどんなことが起こっているのかちょっとだけ説明したいと思います。
原子のエネルギーはとびとびの値をとります。(定常状態)
原子の中の電子はそれぞれに応じた半径の軌道を持っていて、原子からの光の出入りは電子のその軌道の移動によります。(エネルギー状態の高いところから低いところへ移動するとき光を放出し、エネルギー状態の低いところから高いところへ移動するとき光を吸収する)
物質によって、光に当てられたときの波長の長さが違うというのは、炎色反応でよくわかります。(リアカーなきケー村 Li赤Na黄K紫)
熱せられることによって物質の持つエネルギーが基底状態(一番低い状態)になって、その差が放出されたものを私たちは見ているんですね。
さてちょっと難しい話になりましたが、ここからは具体的に空が青く見える理由や夕焼けや虹など具体的に話して行きたいと思います。
太陽の光(電磁波)が、原子や分子やその他空気中に浮遊するエーロゾルにぶつかると、粒子を中心として二次的な電磁波が生じ、周囲に広がります。このことを散乱といいます。
空が青く見えたり、雲が白く見えるのは光が散乱しているからなんです。
散乱の仕方は、入射波の波長と物質の大きさの関係によって違います。
空が青く見えるのは、太陽光を大気が散乱しているからです。(もし大気がなかったら、太陽の方向だけが明るく見えて他は真っ暗になる)
レイリー散乱では、電磁波の波長が短いほど(つまり入射波の放射エネルギーが高いほど)散乱強度が強くなります。可視光の中で一番波長の短いのは紫じゃん!と思いますが、紫は私の目に届く前に散乱されすぎて弱くなっており、空は青色に見えます。
夕焼けが赤く見えるのも、レイリー散乱で説明できます。
空が紫色に見えないのと同じような理屈です。夕方には太陽光が大気中を長く入射するため、地表に届く前に紫色や青色のような波長の短い光は散乱されてしまっていているから、赤く見えるんですね(ちょっと乱暴な説明だなあ…苦笑)
レイリー散乱の特徴は、もう1つあります。
それは、散乱光が入射光と同じ方向で強く、直交する方向で弱くなるということです。
このように、電磁波がある特定の方向に振動することを偏光と言います。
私たちの生活の中で太陽の散乱光の偏光特性を実感できるものとして、カメラの偏光フィルターがあります。偏光フィルターは特定の方向に振動する光のみを通すので、その方向を青色の光が偏光する方向と合わせると、空をより青く撮ることができます。
(この辺は理解が浅く、自信ないです…。電磁波とは何か?ということからちゃんとしっかり勉強すると、放射マスターになれるでしょう!)
②ミー散乱
雲が白く見えるのは、ミー散乱のおかげです。
雲は大気中に浮かぶ水滴や氷晶の集まりですから、原子や分子よりもずいぶん大きいですよね。
そのため、散乱の仕方はレイリー散乱とは異なります。
ミー散乱の強度は、電磁波の波長にあまり依存しません。
太陽光に含まれるあらゆる波長の可視光線を散乱するので雲は白く見えます。
③幾何光学的な電磁波の進行
雨粒や氷晶は雲粒よりもさらに大きいです。これらに太陽光が入射したとき、可視光線は幾何光学的な屈折や反射を行います。
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おそらく試験の問題を解くのはこの分野ってそんなに難しくないみたいなのですが、ちゃんと理解しようとすると沼にはまってしまいますね。私の知識は穴だらけです。
次回は太陽放射がどんな風に私たちの地球を温めているかということを中心にやっていきたいと思います🌞
降水過程③冷たい雨
今回は冷たい雨についてです。
前回のおさらい
雲粒は水蒸気の拡散によって凝結するが、それだけでは雨雲にまで成長できない。大きい雲粒が小さな雲粒を併合することで成長し、雨粒と言えるサイズに成長する。併合過程には、空気の粘性による抵抗力が関わっている。空気抵抗が重力と反対の向きに働くおかげで、あるところでそれらの力が釣り合い、それ以降は加速度0の一定の速度(これを終端速度という)で落下する。釣り合いにより、大きい雲粒の方が小さい雲粒よりも終端速度が大きくなる(終端速度は半径の二乗に比例)ので、大きい雲粒が小さい雲粒を併合することができる。
このような過程で、0℃以上の雲から降る雨を暖かい雨という。
一方、雲の中で氷の粒が大きく成長し、落下する際に溶けて雨粒となる雨を冷たい雨という。
雲の中では、氷点下になれば必ず雲粒が凍るわけではなく、0℃以下でも液体の状態を保つ。しかし−40℃以下にもなれば、雲の中には過冷却状態の水滴は存在せず、全て氷晶となっている。
以上のようなことをご紹介しました。(要約なのに長い...苦笑)
今回は、冷たい雨についてもう少し勉強すべく、氷晶の成長過程をまとめていきたいと思います。
氷晶の自己増殖
雲のなかの氷晶核の数は、氷晶よりも過冷却水滴よりも少ないです。
氷晶は氷晶核の助けを借りて生成されるものなのに、どうしてなのでしょうか。
その理由として、氷晶自身に自己増殖作用があるのではと考えられています。
・氷晶は壊れやすく、落下の際に分裂する
・雲のなかの過冷却水滴が凍結するときに氷のかけらが飛び散り、それが氷晶核となっている
以上のような作用があると考えられています。
氷晶の凝結過程
また、氷晶の昇華による成長は凝結による成長と同様に非常に遅いのですが、氷に対する飽和水蒸気圧と水に対する飽和水蒸気圧の違い(水>氷)から、氷晶と過冷却水滴が混在する雲の中では、氷晶が独占的に成長します。
(氷に対する飽和水蒸気圧<水に対する飽和水蒸気圧)
氷晶がどんどん成長している間に、過冷却水滴は蒸発していき小さくなってしまいます。そのおかげで氷晶の独占的な成長が続くのです。
凝集による氷晶の成長
また、過冷却水滴と氷晶が衝突すると水滴は氷晶にくっつき質量が増します。この過程をライミングと言います。その結果できる氷粒子の形は実に様々です。
どんどん捕捉して大きくなって、あられやひょうになります。
こうして成長したあられや雪片が空気中を落下する際に溶けて雨粒となったのが冷たい雨です。日本で降る雨の約80%がこのような雨であるとのことです。
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この分野をまとめるのにすごく時間がかかり、なんだか歯切れが悪いのは、私の理解があまり進んでいないということかもしれません。
なんとなく一般気象学をなぞっただけという感じです。
このような雲の本をお供に、空を眺めるようなことも気象の勉強ですよね!
ぼちぼち頑張りたいと思います⛅️🌈
降水過程②併合過程
最近は夕焼けがとても綺麗です。秋ですね〜(これは一昨日の写真)
さて、降水過程の続きです。
■前回のおさらい
空気塊が上昇し、相対湿度が100%以上になるとき、空気中に浮遊しているエーロゾルが核となって、雲粒ができる。
特に、海のしぶきが蒸発した海塩粒子はその化学的性質(吸湿性)と大きさのおかげで成長しやすい。
凝結過程による雲粒の成長は質量保存則により、時間を関数として記述できる。
それにより水滴の増加量は半径×過飽和度に比例することがわかった。
このようなことを紹介しました。
今回は、雲粒が雨粒に成長するために必要なもう一段階の過程「併合過程」についてです。
雲粒の併合過程
大きい雲の粒が小さい粒を併合することでより大きくなります。
大きな雲粒の方が速く落下するので、小さな雲粒と衝突して合体して大きくなります。
・・・あれ?物が落下するとき、物体の落下速度は物体の質量には関係ないって習ったぞ?と思うかもしれません。確かに、真空中ではそうです。
しかし、実際は空気があって、空気は粘性を持っているので落下速度は水滴の大きさで違います。(ここで落下と逆向きに働く力を空気抵抗と言います。本当はこの辺はナビエストークス方程式をちゃんと勉強した方がいいと思うけど、ちょっとスルーします笑)
雲粒の終端速度
ηは粘性係数です。どれだけ粘り気があるかを表す係数ですね。
この速度の違いによって併合が実現します。
併合過程による水滴の成長
このように、併合により急激に成長します。
暖かい雨
こうして降る雨を、暖かい雨と言います。
一度も氷にならずに降る雨を暖かい雨というのに対して、雲の中で氷の粒が大きく成長し落下する際に溶けて雨粒となる雨を冷たい雨と言います。
冷たい雨
日本で降る雨の80%はこの冷たい雨です。
氷晶と過冷却
氷でできた雲の粒を氷晶と言います。
大気の温度が0℃以下で、かつ水蒸気の量が氷面に対して飽和していれば、大気中に氷晶ができそうな気がします。
しかし、水滴はとても小さいと凍りにくく分裂もしやすいので、0℃以下になってもなかなか凍らず、液体として存在します。この状態を過冷却と言います。
過冷却状態はとても不安定でちょっとした刺激があると一気に凍ったり、何か不純物があるとそれを核にして凍り出します。その不純物(異物質の微粒子)のことを氷晶核と言います。
氷晶のほとんどは、氷晶核の助けを借りて生成されますが、 –40℃以下では不純物の助けを借りずとも、過冷却状態を維持することができず、雲粒も凍結します。
雲頂の温度が0℃〜−4℃であるような雲はほとんどすべて過冷却の水滴で構成されているので、飛行機で突っ込んでしまうと危険です。過冷却という状態は非常に不安定で少しでも刺激を加えると凍結してしまうからです。
↑積乱雲内部の上昇気流によって生じる氷晶と水滴の分布(気象学入門より)です。
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ちょっと長くなったので、今回はこの辺で。
次回もう少し冷たい雨について書きたいと思います。
専門と実技の勉強もちょっと進めなければ〜