第51回気象予報士試験 学科一般分野 復習①
先日受けた気象予報士試験、解答が出てもしばらくチェックしていなかったんですが、やっと自己採点しました。
結果…
一般はなんとかおそらく合格、専門は不合格でした〜!
専門に関しては、ボーダーが10点に下がったとしても不合格です。
ただただ勉強不足。次回は専門・実技ともに合格したいと思っています!
あと半年あるし、大丈夫でしょう〜〜〜!(謎の自信w)
一般は一応合格ラインには達しているんですけど、落としちゃいけない問題を落としていまして、反省するところも多々あり。
昨日演奏会の本番が終わり、封印していた気象予報士試験の自己採点してみました。
— 気象ゼミごっこ ゼミ生 (@RWTiI5UOLRuoaRx) 2019年2月12日
反省しかないんですけど、一般11点専門が8点か9点(1問解答用紙に丸が2個ついていて採点できずw)でした。
一般はこれギリ合格…?採点していても後悔しかないです。法規とか落としちゃいけないの落としてるんで💦
いや、2週間後に演奏会を控えて準備しながら初めて受けた試験なんだし、そもそも練習のつもりとか言ってたんだから、喜ぶことにしよう。
— 気象ゼミごっこ ゼミ生 (@RWTiI5UOLRuoaRx) 2019年2月12日
でも、一般の合格(確定ではないが)をとりあえず喜ぶことにしました。
専門も惜しかったし。
試験が終わってからしばらく勉強もしていなかったんで、とりあえず試験の復習からやっていきたいと思います。もし良かったらお付き合い下さい。
問題は、こちらから。
- 問1 経度方向に年平均した対流圏内の気温と風の緯度・高度分布について
- 問2 太陽放射と地球放射について
- 問3 状態方程式、混合比に関する問題
- 問4 エマグラムに関する基本問題
- 問5 氷晶核と氷粒子について
- 問6 収束と発散
- 問7 相対渦度が正か負か
問1 経度方向に年平均した対流圏内の気温と風の緯度・高度分布について
これは、こういう図が頭に浮かべば簡単です!
対流圏下層では、もちろん熱帯地方の気温が最も高いですが、対流圏界面の高さは赤道付近で高くなるので、熱帯地方の対流圏界面での気温は低くなります。
一方、対流圏内の同じ高度における気温は、対流圏界面付近を除き極側ほど低く、その南北傾度は中緯度地方で大きい。
➡︎これは正しいですね。
中緯度では気温の南北傾度が大きく、層厚は高緯度側で小さく低緯度側で大きくなります。その結果、高度が高いところほど同じ高度での気圧差が多くなります。
問2 太陽放射と地球放射について
※図解 気象学入門(p134)よりこの図が浮かべば正解できます。
問3 状態方程式、混合比に関する問題
まず、状態方程式の基本の問題から。理想気体の圧力と温度が一定の場合、気体の密度と分子量の関係はどうであるかという問いです。気体の分子量は1molあたりの質量であり、1molあたりの体積は気体の種類によらず一定(22.4ml)であるということから、気体の密度は気体の分子量に比例することはすぐにわかるのですが、式で考えると、こういう風にあまり頭を使わずにわかります笑
続いて与えられた値を使って、混合比を計算。 ゆっくり考えればわかるんですけど、私はこの問題落としてしまいました。メモを見ると、ショートカットしている部分で分数が逆になっていたり、本当に勿体無いんですよね…( ; ; ) 急いで解いてみるとこんな感じです。そして、この問題は多分日頃からエマグラムを良く見ている人にとっては計算せずとも分かる問題だったのかもしれません。↑らくらく突破 気象予報士 かんたん合格テキスト 学科一般 P148より
この地上気温30℃の等飽和混合比線の先(上の方)を見てみると、25gとあります。問題では1000hPa30℃で飽和している空気の混合比について考えていますから、大体このくらいになるはずなんですね。(グラフは1000hPaでの気温が30℃より少し低く、この問題の答えは25〜30くらいになるな〜とわかります。)
問4 エマグラムに関する基本問題
問題文の通り、エマグラム上で未飽和湿潤空気塊を断熱的に上昇させてみるとわかります。
問5 氷晶核と氷粒子について
冷たい雨について理解しているかどうかが問われているようです。
(a)過冷却と氷晶についてです。
-40℃以下では核となる不純物がなくとも過冷却の状態を維持できずに自発的に凍るんですよね。ですから、-40℃より気温が低くなるような高度では、雲は氷晶でできています。
(b)氷晶核の数と凝結核の数はどちらが多いか。
これは悩むかもしれませんが、凝結核の方が多いから-30℃くらい温度が低い高度でも過冷却水滴の方が多いんですよね。
(c)過冷却雲内では水滴と氷粒子、どちらの方が成長がはやいか。
これは過去問でも良く出題されていました。
氷の方が成長がはやいんですよね。
氷は生成のきっかけ(核)さえあれば、成長ははやいんです。
これを言い換えると、水面に対する飽和水蒸気圧は氷面に対するものより高いと言えます。
(d)あられの形成について
あられは氷晶が雲の中を落下するときに過冷却雲粒とぶつかって捕捉していくことによってできますので、この文章は正しいです。
ちなみに直径が5mm以下のものがあられ、5mm以上のものをひょうといって、水蒸気からそのまま昇華したものが雪です。雨と雪が混じって降るものがみぞれです。
問6 収束と発散
この問題は定義がわかっていれば回答できます。
比較することが目的なので、このように簡単に計算してみました。
南北方向と東西方向にそれぞれ流入する空気を比較して流入している方が収束なので、収束している順でいうと、B>C>A>Dとなり、収束が最小なのはDであるとわかります。(発散している、つまり鉛直方向でここの高度に空気が入ってきている)
問7 相対渦度が正か負か
これはたぶん今回の問題で一番簡単でした。
↓渦度の発生要因について過去に書いていますので、こちらもご参考にどうぞ
***************
今回はここまでにします。こんな考え方で大丈夫でしょうか。
ここまではそんなに問題ないと思うのですが…
後半がちょっとボロボロだったので次回頑張って復習したいと思います。
よろしければお付き合いくださいm(._.)m
なんだかんだテスト終わって気が抜けています。
燃え尽きるほどまだ燃えてないはずなんですが…笑
半年後に向けて加速していけるように今力ためておきます。
第51回気象予報士試験、受けてきました!
お久しぶりです。
1月27日に気象予報士試験を受けてきましたので、受験記録を記しておこうと思います。
1ヶ月前
直前になると時間的な切迫感から追い立てられるように勉強するんじゃないかと思いきやそうでもなく、とはいえのんびり過去問を解いたりしていました。
引っ掛け問題に引っ掛かってしまうタチ(運転免許の学科試験にも落ちたことがあるくらいw)なんで、苦労しました。
年末年始は結構頑張った気がします。
しかし、なんだか目が痛い。
結膜炎になってしまいました。
新年早々、目が充血して痛くなってきたんで眼科に行ったら、細菌がいた👀治るのに数週間。受験生には死活問題です😭裸眼なのになあ〜
— 気象ゼミごっこ ゼミ生 (@RWTiI5UOLRuoaRx) 2019年1月4日
眼科に行くと、疲れて免疫力が落ちているようなので休息をとるようにと言われました。
勉強するってことに慣れていなかったんでしょうね〜^^;
年末年始以降は勉強に専念はできませんでしたが、できるときにはやるという感じで勉強していきました。
1週間前
試験前の1週間前くらいからスケジュールを勉強のために空けて受験モードへ。
来週が試験なんで、昨日から仕事以外のスケジュールを空けている。今夜も飲み会などのお誘いを断って家にいる。正直一発合格諦めてからモチベーションはだだ下がりなんですが、夏の試験で楽をするためにも勉強しなきゃ〜。
— 気象ゼミごっこ ゼミ生 (@RWTiI5UOLRuoaRx) 2019年1月19日
試験会場の下見にも行きました。
試験会場下見@福岡です。本番もやっぱりチャリかなと思っているので、博多と祇園の間の地下駐輪場にとめてp2から地上へ出てすぐ。商工会議所の奥にはキャナルシティの新館がちょっと見えます。 #気象予報士試験 pic.twitter.com/InIE8QECbK
— 気象ゼミごっこ ゼミ生 (@RWTiI5UOLRuoaRx) 2019年1月20日
もう片方の目も細菌に侵されました。
左目に加え、右目も細菌に感染してしまった。病院行ったらとにかく休息が大事って言われたけど、暇人なんで、疲れてるって言われても困るんだよな〜笑 テスト前だけど勉強も1日1時間くらいだし😅
— 気象ゼミごっこ ゼミ生 (@RWTiI5UOLRuoaRx) 2019年1月22日
めちゃくちゃ勉強しているわけでもないのに疲れていますって指摘されたので、完全に勉強しない日を設けました。
前日
前日は新しい問題を解いたりせず、まったりと復習をしていました。
勉強カフェに行ったのですが、試験を色々と経験されている方からプレゼントをもらいました。
それが使い切りのホットアイマスク(2枚入り)とチョコレートだったのですが、受験をしてみて、本当にそれが素晴らしいプレゼントだと思いました。
前日はすごく寒い中チャリで勉強カフェから帰ったのですごく疲れたのですが、このアイマスクのおかげで目の疲れを取りながらストンっと眠りにつくことができましたし、試験直前もチョコを食べてリラックスできました。
当日〜試験前
前日にいつもより早く寝たわりにはそんなに早起きするでもなく、当日は何も勉強せずに会場へ行きました。そんなに寒くなくチャリで行きましたw
9:40~の試験に9:00には着いたと思うのですが、もう大勢の受験生が会場入りしていました。話には聞いていたけれど、年齢層の高いこと!そしてほとんど男性でした。
会場のあるフロアまで行きましたが、会場の外はもう座る場所もなく、落ち着いて勉強できる環境ではなかったので、1階のロビーで参考書をみたりしていました。
学科一般
正直、緊張しました。笑
過去問を解いているときに、きちんとした回答をしようとして時間が足りなくなる状況に何度か陥っていたので、考えなくてもわかる問題から先に解いていくというスタイルで回答していきました。
この時期に全部が初見の回で一般を解いてみたところ、時間足りずに8点💦 笑えないw
— 気象ゼミごっこ ゼミ生 (@RWTiI5UOLRuoaRx) 2019年1月23日
その結果、「あと30分です」というアナウンスの時にはもうほとんど終わっていて、なんか逆に不安になりました。
学科専門
もう緊張はしていないけど、ちょっと迷う問題が多くて、最初に書いた回答を修正した問題が何問か。
実技試験
お昼ごはんは買っていたけれど、なんとなく会場で食べたい雰囲気じゃなかったので、ベローチェへ。
午後の実技試験は本当に準備していなかったので、リラックスして休憩できました。
採点してもらえないかもしれないけど午後からの実技試験もやってみる!テスト受けるとか本当久々で緊張しましたが開き直っています!
— 気象ゼミごっこ ゼミ生 (@RWTiI5UOLRuoaRx) 2019年1月27日
実技試験ではとにかく検討違いでもいいから回答を埋めるということを心がけて、取り組みました。 練習だから、と思いつつもなんだかんだ実技が一番頭を使いました。
試験での一番の収穫は、実技試験を会場で受けてみたことかも知れません。
全く手が動かないなんてことはなくて、勉強したらできそうという感覚がありました!
初受験終了しましたー!実技は準備が追いつかず今日初めて問題解きましたが、どっと疲れました💦もうすぐ家に着くんですが、お気に入りのカフェに立ち寄っています。わからないなりにも苦し紛れの回答をしました。次、頑張りたいと思います。(どちらかでもマーク合格してたらいいんですけどね…😅)
— 気象ゼミごっこ ゼミ生 (@RWTiI5UOLRuoaRx) 2019年1月27日
試験が終わって
試験後振り返っていませんし、解答速報もみていません。(正式解答はまだですしね)
ちょっと別のことで2週間後に本番があるので、それまでは落ち込みたくなくて、封印しています。実技に関する本を買ったり、気象に関する本を読んだりしています。
もしかしたら全落ちかも知れないけど、そのときも次回は全部準備して臨めると思います。
試験前は結構この試験勉強に疑問を感じていたというか、モチベーションが下がってしまっていたんです。過去問解いていても、正解できても喜びがあまりなくてモヤモヤしていました。
もうちょっと気象とかの前に理系の基礎を身につけたい気がする。試験のための勉強をしていても、概念だけをなぞっている気がしてしまい、なんかズルをしている気がしてしまう。こんな気持ちなんで、試験はとりあえず受けて部分合格したとしても、一旦もうちょっと数学とか物理を勉強しようかな。
— 気象ゼミごっこ ゼミ生 (@RWTiI5UOLRuoaRx) 2019年1月25日
気象予報士試験もう少しですね〜 今年中にとれたらいいなと思っています🐧(今回はマークだけ頑張ることにしました!)
— 気象ゼミごっこ ゼミ生 (@RWTiI5UOLRuoaRx) 2019年1月8日
問題解いて、正解したときのスッキリ感があんまりないんですけど、こんなもんなのなのかな。
それが、試験を受けに行ってちょっとモチベーションが上がりました。多分マーク試験より記述式の方が好きなんだと思います。(大学受験の時もセンターより2次が好き派)この試験合格したらなんかかっこいいかもって思えたというか。わかりたいって思いました。
これからの抱負
ちゃんとわかりたいので、数学や物理など土台固めもする。
問題を解くよりブログを書くのが楽しいし、反応がきて嬉しいので続ける。
勉強することにも慣れてきて色んなことに興味が湧いてきたので、ある程度好奇心のままに色々やってみる。
次回の試験で合格する!
次回からまた気象の内容でブログを書きたいと思います****
大気の大規模な運動③偏西風波動と温帯低気圧
前々回の話から、今日は中緯度の熱輸送についてお話ししたいと思います。
ハドレー循環では赤道付近の暖かく湿った空気が上昇して高緯度側に移動し下降していて、わかりやすく南北に熱を輸送していますが(直接循環)、中緯度でのフェレル循環では低緯度側に下降流があり高緯度側に上昇流があるため、一見すると熱がうまく循環しているように思えません。
中緯度で水平温度傾度が強くなると大気の流れが蛇行し、偏西風も蛇行するという話を前々回にしました。この蛇行により熱の輸送がなされています。
風の流れに曲率があるときに渦度が生じますが、偏西風に蛇行があるときにはこのよう偏西風の蛇行に対応して低気圧性の渦と高気圧性の渦ができます。
▼渦度
▼気象庁ホームページより
H30.12.15(12UTC) 北半球500hPa高度・気温天気図(AUXN50)
等高度線が波打っていますね。このように、中緯度帯の長さ約3万kmに対し5つくらいの波があって、この波長数千kmの偏西風波動が日々の天気の変化に大きく関わっています。
偏西風の波動は温度の水平傾度が大きくなることにより起こると言いましたが、その蛇行によって寒気と暖気の入れ替わりが起こっています。
一般的に温度(密度)の違う流体がぶつかるとどうなるのかということをまず考えてみます。このように冷たい水と暖かい水が入った箱のようなものがあって、仕切りをはずしてみるとどうなるか?
密度の大きい冷たい水が下に潜り込もうとします。
お風呂に入っているときを想像するとわかりやすいですが、お風呂のお湯が冷えてしまっているとき、特に底の方に冷たい水が溜まっていますよね。
このように移動するとき、位置エネルギー(potencial energy)を使っています。
(位置エネルギーが運動エネルギーに使われている分だけ小さくなっています。)
これと同じことがもっと大きいスケール(総観規模)で起こっています。
500hPaで気圧の谷(トラフ)には正渦度の極大域があって、風が収束しています。風が収束すると、そこから地上に向かって下降する流れができます。
※発散とp速度、渦度に関しては以前にご紹介しました。
地上に寒気が潜り込んで、下降流の下では高気圧となります。
一方、500hPaにおいて気圧の尾根(リッジ)となっているところでは、風が発散していて、地上からの暖かい風が上昇しています。
これが発達する温帯低気圧の構造なのですが、地上の低気圧の中心とそれに対応する500hPaの低気圧の中心を直線で結ぶと、上空にいくほど西に傾いた線が書けます。
これが直線だったらどうなるでしょうか?
地上で低気圧の中心に向かって吹き込む風が上昇しても、その先(上空での低気圧の中心)に空気がたまっていくので、そこはだんだんと低気圧ではなくなります。
温帯低気圧を気象衛星でみると、高気圧性の曲率を持った雲域(バルジ)がみられます。
低気圧の西側には暗域がみられますね。これは寒気の南下と下降が強いことを示しています。(水蒸気画像でこの暗域が暗化するか明化するかの時間変化を観察することにより、低気圧が発達するかどうかを推測することができます。)
▼気象衛星センターホームページより
これがよく地上天気図で見かける温帯低気圧です。
▼気象庁ホームページより
鹿児島付近に低気圧の中心がありますね。このように前線を伴う低気圧を温帯低気圧と言います。
前線の話をしていませんでしたが、前線は「地上で水平温度傾度が特に大きくなっている等温線集中帯の暖気側に沿ったライン」と定義されています。
「温度傾度の不連続線」とも言い換えることができます。ただし、九州(西日本)以南の梅雨前線は水平温度傾度がそれほど大きくなく、水蒸気密度の傾度の大きいところに前線を書きます。(等温度線の集中帯ではなく等相当温位線の集中帯に着目します。梅雨についてはまた今度!)
前線があるから、低気圧が起こるわけですね。
このように温度傾度が大きくなると偏西風が蛇行し、それに伴って温帯低気圧ができます。温帯低気圧によって、南北に熱を輸送しています。
**********************
ちょっと雑になってしまいましたが、今回はこの辺で。
読者になってくれた方もいて、とても嬉しいです。感謝しています。
一方、私は試験が近づくにつれてだんだんと試験用の勉強をしなければ〜という焦りはありつつも、何でこの試験を受けるんだっけ?というモチベーションの揺らぎみたいなものもあって、あんまり身が入っていません。
純粋に知りたくて勉強しているだけなら、試験を受ける必要もないわけで。
もう少し頑張って、ここまで勉強したんだから合格して称号を得ようよ、と思えるくらいになれたらいいんですけど。
合格後のことをイメージし辛く、モチベーションの維持が難しいということがこの試験の難易度をさらに上げているのかもしれませんね。
次回はもうちょっと前線について(私もインプットしながら)ここで発表できたらと思っています。
大規模な大気の運動②温度風
前回大気の大循環の話をして、一気に一般の内容をまとめたい!という気持ちが高まってきていますので、この勢いでまとめていきたいと思います。
ブログの読者対象というのがブレブレな気もしますが、寝ぼけている自分が理解できるくらいの簡単な言葉で説明するのが目標です笑
ひとまず気象の基礎を(それがどこまでなのか、微妙なところですが)一通りご紹介して、それからはランダムに学んだことをアウトプットできればいいな、と思っています。
前回のおさらい
赤道付近では熱が余っていて、極付近では熱が不足しています。
その熱の偏りを解消する働きをしている3つの循環について紹介しました。
ハドレー循環
赤道付近では太陽高度が高いためよく熱せられ、地上付近は相対的に低気圧になる。すると南北から風が収束し上昇、上空で南北へ発散する。
このように直接大気が南北に移動し熱の輸送を行う循環を直接循環という。
フェレル循環
地球は自転しており、高緯度ほどコリオリの力が大きく働いて風の向きが変わる。そのため、ハドレー循環だけで赤道付近の風が極側へ送られることはなく、赤道上空からやってきた空気は緯度25〜30度付近で高緯度側へ進めなくなる。そこで風は収束し下降、地上で高気圧となる。そこで南北に風が発散する。緯度60度付近で高緯度側からの風と低緯度からの風がぶつかり上昇する。
極循環
極付近では大気が冷やされ高気圧となり、下層の冷たい空気が低緯度側に移動する。上空では暖気が極へと向かう循環をしている。
亜熱帯ジェット気流
ハドレー循環とフェレル循環の境では上空ほど西風が強くなっており、この風速の極大域を亜熱帯ジェット気流という。地球が自転しており球形であることにより、また角運動量が保存されることが亜熱帯ジェット気流の要因である。
寒帯前線ジェット気流
寒帯前線ジェット気流は、上空から下層まで延びる寒帯前線の移動に対応している。
寒帯前線ジェット気流は亜熱帯ジェット気流に比べ蛇行が激しい。夏よりも冬に赤道付近に近く、風速も大きい。出現高度は冬の方が低い。
以上のようなことをお話ししました。
今回は偏西風の話から温度風の説明をしたいと思います。
偏西風
亜熱帯高圧帯から高緯度にかけて吹く地上の風はコリオリ の力によって曲げられ、西風になっています。そしてこの地帯では上空ほど西風が強くなっています。
これは南北の温度差があるため、上空ほど風が強くなっているのです。
温度風
地衡風の鉛直シア(これを温度風という)から、その層内の気温傾度や温度移流がわかるんですね。
整理すると、
♣︎温度風は等温線と平行
♣︎温度風は低温側を左手に見るように
♣︎風向が高度とともに時計回りしているとき、暖気移流、反時計回りなら寒気移流
以上のようになります。
↓わかりやすさのために、北側を低温に南側を高温にしました。
気象庁のホームページには、全国33箇所に設置されたウィンドプロファイラで観測した風の情報が載っています。
ここで風向風速のシアを確認することができ、気温の予想をするためのヒントになっています。
***************
今回は短いですが、こんなところで。
温度風という概念を理解するのはなかなか難しいです。
私は大気の大循環の話を先にたっぷりしないと、温度風について語れないと思いました。(ちょっと今回は言葉足らずなんで、加筆するかもしれません)
次回も中緯度の熱輸送の話から出発して今度は温帯低気圧についてお話しようかなと思います。せっかく前回ロスビー波を登場させたので、ブロッキング現象やエルニーニョ(ラニーニャ)の話に飛んでもいいかなあと思っています。
お話しの順番を考えるのは楽しくもあり、難しいところでもあります。
***************
大規模な大気の運動①大気の大循環
週に1回は更新しようと思っていましたが、2週間ほどご無沙汰になってしまいました😅気象予報士試験まであと49日です😵
もうほとんど今回で合格することは諦めているんですけど、なんとか土台だけはきちんとしておこうと思っているところです。
という訳で、直前ですけどブログも一応続けたいと思います。
今回はちょっとスケールの大きな話をしたいと思います。
地球の熱収支の話から大規模な風について考えたいと思います。
前回のおさらい
前回は風を表す物理量ということで、発散(収束)と渦度という物理量をご紹介しました。
▼水平方向の風の発散(収束)と鉛直流の関係
▼渦度とは
▼絶対渦度とは
▼補足(渦度の発生要因)
手にペンを挟んで回そうと思うと、渦度っていう物理量を知らなくても自然とできますよね。速度の差(シア)によって、鉛直方向にペンが回るんですね。
流れに曲率があるときというのが私はなんとなく理解するのが難しいのですが、専門の勉強で衛星のことを調べていて少しわかった気がします。↓
さて、今回は地球の熱収支について、その偏りを解消するためにどのように熱を輸送しているか、そのために吹いている風についてです。
大気の放射の話をした際、このような図で地球の熱収支を表しました。
地球全体としては、このように吸収する太陽放射量と放出する地球放射量が釣り合っていますが、緯度ごとにみる考えてみると、高緯度では熱が不足し、低緯度では熱が余っています。
※図解 気象学入門(p134)より
この熱の偏りによる温度差を解消するために、低緯度から高緯度に熱が運ばれます。
赤道付近では太陽からの放射に対して地球の放射が小さいので、よく熱せられて地上付近では低気圧となり、南北から風が吹き込みます(収束)。ぶつかった大気は上昇して、積乱雲が活発に生じます。雲の発生によって凝結熱が放出され、大気が加熱されます。
対流圏界面まで上昇した空気は、それ以上は上昇できずに南北に発散します。
コリオリの力によって赤道付近からの上空の風は東に曲げられ西風に、下層の風は北東風になります。
赤道付近上空の風が高緯度側へ移動するとき、高緯度側にいくほどコリオリ の力が大きく働き風向は西に近づき、風速も強くなります。このように西風が強くなると、ある地域から高緯度側へは風が進めなくなります。そこが亜熱帯高圧帯です。
亜熱帯高圧帯(中緯度付近)では地上の気圧が高くなって、上空から空気が下降してきて地上で発散します。この地上で発散している風は、下降によって空気が断熱圧縮されており、暖かく乾燥しています。このため亜熱帯高圧帯では雨が非常に少なく、降水量よりも蒸発量が多くなるため、砂漠が多くなります。
亜熱帯高圧帯では上空ほど西風が強くなっており、偏西風帯となっています。この偏西風帯の風速の極大域をジェット気流といいます。
赤道上空で自転によって回転していた空気が中緯度帯に移動することにより、風速が強まっているのです。
これは角運動量保存則で確認することができます。
cosφやsinφの取り得る値の範囲からも赤道付近に比べて中緯度の方が西風が強いとわかりますが、具体的に値を入れてみます。
RΩ=460m/s,u0=0m/s,φ=30°を代入してみると
u≒133m/s
赤道付近で相対的に風が吹いていなかったとしても、その空気が緯度30度に移動するとこのように強い風が吹きます。実際には空気抵抗でかなり減速され、30m/sほどになります。
一方、極域では太陽からの放射に対して地球の放射が大きく、極域の上にある空気は冷やされています。そのため地上付近では気圧が高くなり、相対的に気圧の低い低緯度側に空気が移動します。コリオリの力によりこの風は北東風(極偏東風)になります。
この極偏東風が極域に冷たい空気を運び、偏西風が暖かい空気が運びます。その冷たい空気と暖かい空気がぶつかるところを寒帯前線と言い、雲が発生しやすい地帯となっています。この寒帯前線においても上空に行くほど強い西風があり、これを寒帯前線ジェット気流と言います。南北の水平温度傾度特に大きく、そのことが上空ほど西風が強くなるということと関係しています。
これは温度風という概念で説明できます。
(温度風については長くなりそうなので、また次回にしますね!)
寒帯前線帯ジェット気流は南北に蛇行しています。
これは、前回お話しした絶対渦度保存則で説明できます。
惑星渦度は赤道で0、高緯度ほど大きく、極では最大(2Ω)になります。
絶対渦度保存則より、相対渦度は惑星渦度が増えればその分減り、減ればそれを補うよう増えます。
北半球で偏西風が吹いている状態の500hPa(非発散場)において、相対渦度0の空気塊が北に移動すると、上の図のように相対渦度が負になります。つまり、高気圧性循環になります。すると、空気塊は向きを変えて低緯度側に向かいます。このようにコリオリ パラメーターが空気塊の南北変位に対して元に戻るように働きます。その結果、偏西風は波打つようになります。(ロスビー波)
ハドレー循環では直接南北の熱を輸送できていますが、中緯度のフェレル循環ではこのように蛇行することによって南北の熱を輸送することに貢献しています。
*************
今回はこの辺までにしたいと思います!
本当は温度風の話や温帯低気圧の話もぜーんぶまとめてやりたいんですけど、力及ばず…。
個人的には今回の話あたりから一般気象学を読み進めていくスピードが落ちましたし、この記事を書くにも休み休み、数日かかってしまいました😹笑
試験も近づいてきて、純粋に気象の勉強をする楽しみを忘れそうになりますが、テスト対策もしながらまだまだ楽しんでいきたいと思います♩
*************
大気の力学④風を表す物理量
試験まで時間がないのに風邪をひいてしまい、1週間の大半を棒に振ってしまいました😷😭
演習やら新しいことのインプットなどの重たい勉強はちょっとキツイので、ブログでゆるく勉強したいと思います。
前回のおさらい
傾度風から旋衡風や慣性振動について勉強しました。
旋衡風はコリオリの力を無視できる風で、気圧傾度力と遠心力がつりあっている。
竜巻や塵旋風がこれに相当する。
慣性振動は気圧傾度がない場合の風。コリオリ力と遠心力のつりあいで、高気圧性の風が吹く。
また、p座標系について勉強しました。
高層天気図は、等高度面ではなくて等圧面で記入されている。
(t,x,y,z)系ではなくて(t,x,y,p)系で考えることは、高層気象観測で取得できる情報を図に表すのに自然だから、という理由の他に、連続の式がシンプルに記述できるようになるからという理由がある。
以上のようなことを勉強しました。
今回は、連続の式から風の発散(収束)のお話、渦度のお話をしたいと思います。
発散と上昇流
まず発散・収束を表すダイバージェンスの意味についてはこちらから。
ある高度(気圧面)における風が、発散しているか収束しているかということをこのように表します。連続の式が鉛直流と水平方向の発散(収束)を関連づけています。
地上で風が収束していたら集まってきた空気は他に行き場がないので上昇するしかないですよね。
divVが0となる高度で鉛直流が極大(または極小)となり、鉛直流が0である(上昇流と下降流の切り替え面)高度で水平発散(収束)があります。
下から上昇流がやってきて、上から下降流が降りてくるような高度では水平方向に風が広がりますよね。(発散)
渦度について
さて、続いては風の循環についてです。
低気圧性循環と高気圧性循環について以前勉強しました。
今回勉強する渦度は、そのような回転の方向と速さを表す量です。
気象の勉強をする上では、鉛直方向の渦度が重要です。
定義から、正の渦度が反時計回り(北半球では低気圧性循環)、負の渦度は時計回りです。
地球は自転しているので、そのことによる渦度というのも地球の外から見るとあります。角速度の2倍が渦度であるということからも、ある緯度φにおける自転による渦度は2Ωsinφであるとわかります。これはコリオリパラメーターですね!
これと相対的な渦度の和は保存するというのが絶対渦度保存則です。
絶対渦度は、粘性や発散(収束)のない大規模な運動において保存されます。
500hPaの天気図を見る際、これが役に立ちます。
というのも、500hPaでは理論上非発散場であり、渦度の保存性が高くなるからです。
緯度によるコリオリ力の影響の違いも考えた上で、例えば台風を追ったりすることができるんですね。(まだ私の勉強が進んでいないので、そうっぽいですよという言い方しかできませんが…(小声))
********************
今回は風を表す物理量についてお話しました。
気象予報士試験まであと2ヶ月です。気象の基礎をブログでまとめるというのも割と意地で(?笑)継続していますが、このペースだと本当に基礎の基礎で終わってしまいそうです。個人的には、暗記するものは先延ばしにしてきたので、今から大急ぎでやらないとです。あと演習。
受験までもう風邪引かないように、防御&メンテナンスしていきたいと思います٩( ᐛ )و
大気の力学③p座標系
なかなか勉強が捗っていない私です😅
演習が全然できていなくて、このままだと学科合格もかなり怪しいです😂
しかしやっぱり基礎が大事だと思いますので、この辺のところはブログにきっちりまとめていきたいと思っています!
今回は、前回の補足として気圧傾度力がない場合の空気の運動(慣性振動)や気圧傾度力と遠心力がバランスして吹く風(旋衡風)についてお話したあと、これから下層から上空と立体的に風の話をしやすくするために、高層天気図やそこで使われる座標系のお話をしたいと思います。
前回のおさらい
空気は気圧の高い方から低い方へと移動しようとする。(気圧傾度力)
地表面の摩擦を考えなくても良い上空で等圧線が平行なところでは、気圧傾度力とコリオリの力がだいたい釣り合っていると考えて良い。(地衡風)
風の流れが曲率を持つような場合は、コリオリ力と遠心力が気圧傾度力とバランスしていると考えて良い。(傾度風)
以上のように考えると、高気圧の周りの空気は時計回りに吹き出すように、低気圧の周りの空気は反時計回りに巻き込むような循環があるとわかる。(高気圧性循環と低気圧循環)
さらに、高気圧の風は気圧傾度に制限があることがわかる。低気圧は台風のような強い風を伴うが、高気圧はそのような強い風を伴うことがない。
以上のようなことを勉強しました。
傾度風の式から、慣性振動と旋衡風のお話をしたいと思います。
※竜巻の図は気象庁ホームページ(気象庁|竜巻などの激しい突風とは)より
慣性振動
前回もご紹介しましたが、傾度風の式をグラフにしたらこのようになります。
このグラフから、気圧傾度力が0のとき、風が吹いていないかもしくは高気圧性の風が吹いていることがわかります。大気中では滅多に観測されないけれど、流れが弱い海洋の中ではよく観測されるそうです。
旋衡風
コリオリの力が遠心力と気圧傾度力に比べて無視できるような場合(気圧傾度力が強く、風の速さが大きくて、曲率が大きいとき)の風を旋衡風と言います。
竜巻はこの旋衡風に相当します。
コリオリ力が無視できるということは、中心は低気圧でも回転は時計回りでも反時計回りでも可能ということです。ただ、竜巻は強い上昇流を伴うような巨大な積乱雲(スーパーセル)のもとで発生することが多く、そのような親雲がコリオリ力の影響で低気圧性の回転をしているので、北半球ではほとんどの竜巻が反時計回りの渦回転をしています。
**竜巻**
- 小さなスケール(数十m〜数百m)で極めて大きな気圧傾度(周囲との気圧差が20〜40hPa)→猛烈な風
- 大気の成層状態が不安定なときに起きる
上空に積乱雲や積雲があり、この雲底から漏斗雲が垂れ下がっている - 渦の中心の気圧低下によって空気塊が断熱膨張(冷却)し、水蒸気が凝結する
→漏斗雲(象の鼻のような白っぽいの)
**塵旋風(じんせんぷう)**
- 学校の校庭などで起きる砂埃を伴う渦巻き
- 竜巻とは違って上空に親雲を伴わない
p座標系(高層観測の方法)
上空の状態を知るのに、等圧面天気図が使われています。
天気図でみられるような総観スケールの大気現象について考えるとき、その広がりが対流圏の厚さ約10kmに比べて非常に大きい(2桁以上大きい)ため、鉛直方向に関しては、静力学平衡が成り立っていると考えます。(高度と気圧は静力学平衡の式で1対1の関係になっている。)
※気象現象を水平方向の大きさによって分類したとき、1000km〜10000kmのスケールで起こる現象を総観スケールといいます。
高層の観測のために使われるのが、ラジオゾンデというものです。
ゴム製の気球に水素またはヘリウムを入れた気球に、気圧・気温・湿度を測定する観測機器をぶら下げて地上で放ちます。気球の中のガスが膨張してあるところで破裂しますが、それまでは観測できます。
観測した気圧・気温の値から高度を計算(静力学平衡)して、人工衛星によるGPS解析から位置のズレを得て、各高度の風向・風速を求めることができます。
(GPS機能のあるラジオゾンデ(GPSゾンデ)もあります。)
このようにして得た情報を元に同じ気圧を持つ面に高度や風向・風速・気温・湿数をプロットして、高層天気図ができます。
このような等圧面天気図は、気象要素を気圧の関数として見ています。
独立変数(t,x,y,z)ではなくて独立変数(t,x,y,p)で表されているんですね。
このような座標系をp座標系と言います。
この座標系は3次元で風を考える際に便利です。
というのも、流体の連続の式を考える場合にとてもシンプルになるからです。
式から密度が消えてシンプルになりました。
ここを起点にして色んなお話ができると思いますので、次回からやっていきます。
最後に気象の勉強にもお役立ちな動画をご紹介します!
風の発散(収束)とか渦度とか理解しようとするとき、ベクトルで扱えると便利です。
ヨビノリ たくみさんはめちゃ賢くて、難しいことも多くの人がわかるように説明してくれています。
キリが悪いですが、今回はこの辺で(^^)/~~~